最後の授業。
塾に行ったら「次の人が決まったんで、引継ぎのメモをお願いします」と言われた。もう数週間あると思ってのんきにしていたので、驚いた。「あー人生最後の授業かも」と思う。何度もそんな瞬間はあって、結局こうして教壇に戻っているのだが、今回はどうだろう。塾との契約は、維持することになっている。急病などで国語の代講が必要な時には、単発で声をかけてもらう。だからおそらく最後の授業ではないだろう…と思いつつ、それでも少し寂しい思いで授業に入る。
小テスト、質問を捌く、机間巡視、ノートチェック、板書、解説…いつも通り、私は授業を楽しんでいる。子供たちも楽しんでいる。わかった喜び、できた喜びで教室が満たされる。幸せだと思う。商談をやってるより、籠って物を書いているより、教室で子供の知的好奇心や関心を全身に受けている瞬間が一番自分らしい気持ちがして、そして自分のダンナでさえも知らない私なのだ。
私には、授業でいつも使っている“指示棒”がある。卒業生にもらった肩たたきなのだが、黒板を指してもゴムなのでイヤな音がしないし、生徒を少々しばいても痛くない。
さすがに予備校の教室で使った時には大人な生徒たちから失笑が起きたが、小学生はこの指示棒を“相棒”と呼んで気に入ってくれる。私を怒らせるとこれでつつかれる。子供たちは「相棒攻撃」とか「相棒アタック」とか言ってきゃっきゃと私につつかれていた。もう5年以上一緒だ。
よう、相棒。またそのうち出かける場面もあるやろ。きっちり稼げるようになったら、自分で塾でもやるからそれまで休んでいてくれ。半年ご苦労だったな。
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コメント
お疲れ様です。と言いつつ読んでるこっちまで淋しくなりました。
ととさんの授業受けてみたいと思う30代はおかしいのだろうか(笑)
でも、きっとととさんの事だから教壇に戻るんでしょうね。
と、言うよりどんな形でも携わって欲しいなと思います。
投稿: 宮井 | 2004.03.02 01:34