« 塾校長の一日。 | トップページ | 「くろねこ国語塾」イベント授業 »

2004.06.11

国語読解問題・線引きのツボ(3)~小説編

 小説には、いろんな感情が書かれます。これを「事件→成長」などの「物語の型」に当てはめて解くのは好きではありません。例外がたくさんあるからです。大事なことは描かれている状況の判断と、感情表現を拾って行くこと。そして作者が何を伝えたくてこの小説を書いているのか(主題)を読み取ることです、よって線を引くポイントは以下の部分。

 【物語の設定】
  ・時代
  ・登場人物の年齢
  ・性別
  ・人間関係
  ・舞台となる場所

 これに関連して国籍や立場や過去にあった事件など、登場人物の性格に関わりそうな内容には線を引かせますが、最初は難しいのでざっと「いつ」「どこ」「だれ」「何歳」ぐらいは見つけたら線を引こう、と言っておきます。

 舞台設定が重要なのは、見落とされがちです。例えば同じ「兄弟におやつを取られた」という出来事でも、戦争中の物の無い時代であれば重さが現代とは異なります。また、外国の話であっても状況や受け止め方が違う。今なら携帯電話で解決できることも、30年前は公衆電話が無ければ無理。小説の世界に入っていくためにも、この舞台設定の読み違えをしないように注意させます。

 次は比較的簡単です。「絶対に線を引こう!」と口うるさく言うのが次のポイント。

 【感情表現】

 ・「~思う」「感じる」「考える」「気持ちになる」など

 ・気持ちを表す言葉 (例)うれしい、楽しい、辛い

 ・声に出さない心の声

 ・感情の出ている台詞
  (例)「信じられない!なぜ?」>怒り、驚き
    「誰がガラスを割ったの?」「……」>困った、言いたくない
    状況によっては「……」も感情表現

 ・感情の出ている表情・仕草・態度
  (例)彼女はずっと下を向いたままだった。>辛い、恥ずかしい

 大体こんなところで、優れた作家はこの感情表現がめっちゃ上手なんやでと教えます。宮沢賢治の「猫の事務所」で、いじめられているかま猫の感じる「もうかなしくて、かなしくて頬のあたりが酸つぱくなり、そこらがきいんと鳴つたりするのをじつとこらへてうつむいて居りました」なんて一節などを取り上げて「泣く前ってこんな感じになるよねぇ、うまいねぇ」なんて言いながら。

 生徒と「嬉しい気持ち」を工夫して表現してごらん、などと考えさせることもあります。「お腹の中でどーんどーんと花火が上がってるみたいな気持ち」なんて言われると、盛り上がります。

 ちょっとレベルが高くなってくると、風景描写にも主人公の感情が反映されているのがわかってきますが、高度なので生徒のレベルに応じて教えます。とにかく「感情表現」をチェックすることが、小説読解の第一歩です。

 あえてはっきり感情を書かない作家もいますので、その時には最初に線を引いた設定をヒントに、登場人物の心理を想像力を駆使して掴みます。このケースでは、子どもの成長レベルや経験が読解力に反映してしまいます。淡い初恋物で撃沈する男子など、その典型。「好きな子の隣の席でドキドキ」なんて言っても、知らない感情は想像しにくいのです(笑)。

 だからこそ、達成感、疎外感、誘惑とモラルの板ばさみ、人を好きになる・嫌いになる気持ち……いい感情も悪い感情も含めて、できるだけ多くの感情を実際にまたは擬似体験させることは大切だと思っています。相手の痛みを想像できずに起こる、悲惨な事件を防ぐためにも。

|

« 塾校長の一日。 | トップページ | 「くろねこ国語塾」イベント授業 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 国語読解問題・線引きのツボ(3)~小説編:

« 塾校長の一日。 | トップページ | 「くろねこ国語塾」イベント授業 »