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2004.07.31

読書感想文のコツ

 コツと言うほどでは無いのですが、夏休みの悩みの種と言えば「読書感想文」。子どもからもよく相談を受けていました。まず「何を読んでいいのかわからない」という子には、知っている子であれば性格や趣味に合わせて紹介します。このあたりは、図書館で自由に選ばせるといいのではないでしょうか。

 面白いもので、ただ漠然と読め!というと子どもは読まないのですが、ある日ちょうど予習シリーズに「伝記文」という単元が出てきたので、塾の図書コーナーからありったけの伝記を持っていって教卓に並べました。

 「今日は伝記文やから、今からゲームをやって買ったもんから好きな伝記を選ばせてやるぞ。読んで、その人が何をしたか来週教えてな」と言い、漢字のゲームなどをやります。

 「俺、『ディズニー』がいい!」「先生、『ベーブルース』は残しといて!」「『ヘレン・ケラー』がいい!」と勝手に自己申告を始めます。そしてゲームの結果で嬉しそうに1冊ずつ持っていきます。買い与えてもまるで無視なのに、不思議なものです。さて、可愛そうにゲームに負けて、よくわからない伝記に当たった場合にはフォローを入れます。

 「あんな、○○。『ファーブル』って何した人か知ってる?」
 「知らん(少し悲しそう)」
 「ここ見てみ、昆虫の研究しはった人やねんけど、フン転がしの話がおもろいとこやねん」
 「フン転がし?」
 「動物のウンチを丸めて持って帰る虫がおってな、それをじーっと観察してはるねん。他にもおもろいところいっぱいあるから、見つけたら教えてな!」
 「うん!」(他の子からも「ええなーフンころがしの話読みたい」などと声が出るので、嬉しそう)
 
 「豊臣秀吉」や「ノーベル」は人気が無いので、売りのエピソードを渡す時に一緒に教えておきます。伝記のいいところは「子ども時代からスタートする」ことに尽きます。自分より小さな子が同じ年になって、様々なエピソードを越えて成長したあかつきに「偉人」として名を残す業績に取り組んでいく…実際は褒められない人だっているのですが、子ども向けの伝記は上手にまとめてあります。「偉人だって普通の子どもからスタートした」ことを知るのは、人生の可能性を教えるのに有効です。

 しかし、読めたところで原稿用紙に向かうと詰まる子がいます。そこで感想文のために読むときは、読む前に付箋を渡しておきます。

 「気に入ったページとむかついたページに付箋を貼ろう」と指導します。没頭するとうっかり忘れますが、これは読書の本来の姿なので構いません。後からもう一度、ページを探して貼ればいいことです。

 「気に入ったページ」のどこが気に入ったかを、別の紙に思いつくまま書かせます。小説であれば「誰」が気に入ったか、「誰」が気に入らないかも考えます。自分が主人公だったらどうする?も考えてみるといいでしょう。「なりきり感想文」も面白いものです。主人公や登場人物になりきって、続きを書いてみたり話を途中から変えてしまってもいいのです。

 「読書感想文」は、本を通して「自分の感情の動き」を見つめ、「こういう受け止め方をする自分はどういう人間なのか」を発見するのが本来のあり方です。文体や内容の良し悪しに第3者としてコメントをつけるのは「書評」です。読んでいて思いだした自分の似たエピソード、似た友達、腹が立ったのは自分が同じタイプの人間だからだ…と発見していくことさえできれば、読書感想文が賞を獲ろうが獲るまいが教育としての目的は達成されています。

 賞を獲るノウハウもありますが、この第一段階のメモもできてない場合は教えません。まずは落書きのようにメモをした中から、きっと感想文の流れは見えてくると思います。

 どうしても書き出せない人のために、困った時には書き出しを一番好きな箇所の引用で始めることだけ教えておきます。

 「・・・・・・・・・(引用)・・・・・・・・・・」
 ・この文を読んだとき~という気持ちがしました。なぜなら~からです。
 ・この文が、まだ頭の中に残っている。その理由を考えてみた。
 
 …などと続けます。

 読書の魅力は疑似体験の魅力。戦国時代で暴れまわったり、魔法学校に通ったり。自分なら、どうやって本の世界で暮らすかを考えると楽しいものです。健闘を祈ります。

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コメント

とても良いですねー。参考にさせてもらいます。。

投稿: 中村巳之助 | 2005.03.16 16:43

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