俳句授業・実況中継(3)~夏の季語
さて読むのがしんどいでしょうか(笑)、俳句シリーズ。せっかくの機会なので時間のある時にでも読んでみてください。次は夏です。
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「よし、じゃあ今度は夏に行こう。1、2、3月が春ってことは『4・5・6が夏』!4月なんか怪しいけどな、とにかく昔の暦やとズレてるんやね。さー2つ目の枠にどんどん書くよー」
-《板書》--------------
夏(4~6月)
夏草・青葉・若葉・牡丹(ぼたん)・ひまわり・朝顔
ほととぎす・蝉(せみ)・かぶと虫
梅雨(つゆ)・夕立・入道雲=雲の峰・
蛍(ほたる)・プール・かき氷・花火・金魚
鯉のぼり・吹き流し・麦の秋・万緑(ばんりょく)
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「『夏草』は見たまんまやね。『青葉』とか『若葉』はなんとなくわかるな。花が散ったら桜もあっというまに緑になるやろ。『ほととぎす』は鳥。さーなんて鳴くか…加藤、知ってる?」
加藤「わかりません」
「これは難しいからなー。『てっぺんかけたか』って鳴くってよく言われてるねん。何かペチャクチャ言ってるみたいな早口の鳴き声で5月ごろに鳴くから、昔の人は『あ、ほととぎすが鳴いとる、夏が来たな』と感じたんやね。しっかり覚えよう。蝉とかひまわりとかプールとかめっちゃ夏らしい言葉はわざわざ説明しないよ」
「この『牡丹』は花。立派なヤツは君らの顔くらいある大きな花でな、レースを何枚も重ねたようなゴージャスな花…そうや、今度の授業までに図鑑で見ておいで。ほんで黒板に絵に描いてもらうことにしよう。誰が当たるかわからへんから、ちゃんと見ておかな知らんで」
生徒「それって先生の仕事ちゃうん」「サボりや」※ホントに言われた
「先生の仕事は、牡丹の花も知らんカワイソウな子供たちに花を見るチャンスをあげることや。もし先生のへぼい絵しか見られへんかったら、一生ちゃんとした牡丹の花を知らん可能性もあるんやぞ。家に図鑑の無い子は、学校の図書館にも塾の図書コーナーにもあるからちょろっと見るだけやん。…ということで、これも宿題な。さ、次行こう!…この『梅雨』って何月ぐらいだったっけ、鈴木」
鈴木「6月ぐらい」
「そうやね、6月は雨ばっかりでイヤになるな。6月は夏に入ってるので夏の季語。『梅雨』は読み方も入試に出るから覚えておこう。『夕立』って何かな?はい、木村」
木村「ざーっと降る雨のこと?」
「そうやけど、いつ降るの?」
木村「あ、夕方にざーっと降る雨のこと」
「その通り!夕方に突然降ってその後さっと止んでしまう雨は、夏によくあるよね。だから夏の季語な。『入道雲』はこんなん(絵を描く)でーっかい雲が晴れた空にもくもく出てると、『夏だーっ!』って感じがするなー。この形が山みたいに見えるから『雲の峰』は入道雲を雲でできた山にたとえた、ちょっとカッコいい言い方。一緒に覚えてな」
「さーいよいよ危ないのは『こいのぼり』や『吹き流し』。こいのぼりを出す5月5日は何の日かな」
生徒「子供の日!」
「まあ、そういうことになっとるけどな、元は『端午の節句』と言って男の子のお祝いの日のことやねん。ここで思い出して欲しいのは『4、5、6は夏』!ってこと。そうすると、男の子の成長を願って5月5日に立てる鯉のぼりも夏。5月ってちょっと春かなー、夏かなーって迷うと思うけど『4、5、6は夏』をまず覚えておけば大丈夫。じゃあ『吹流し』ってなんや、山下」
山下「知らん!」
「知らんやろなあ。私も先生になってからちゃんと知ったから心配するな。今、絵書いたるしな」(鯉のぼりの絵を書く)
「このな、鯉のぼりの鯉と違うのんがてっぺんになびいとんな。この五色のシマシマの布見たことあるか」
生徒「あるある!」
「これが『吹流し』。だから鯉のぼりと一緒で夏の季語。もうわかるな。あと、問題はこいつや、『麦の秋』。『秋』の字に飛びつくと痛い目に合うよー。君ら、社会で二毛作って習った?」
生徒「やったやった」
「稲が色づいて刈り取るのは秋やな。それはいいねんけど、あったかいところやと春先の田んぼがもったいないし、麦を植える。その麦が稲みたいに黄色く色づいて刈り取りをするのが5月ごろなんやって。だから『麦の秋』は5月、つまり夏の季語なんよ。おっちょこちょいが間違えそうな季語だから、しっかり覚えてや~」
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実は、この中には子ども向けの授業ノウハウで大事なポイントがたくさん詰まってます。最たるものが「重要ポイントの繰り返し」です。ここでは「4、5、6は夏」をうんざりするほど繰り返していますが、子ども向けにはちょうどいいぐらいだと思っています。黒板を叩いたり、急に当てたりしながら授業をライブ感覚で盛り上げて、サビを連呼しているという感じでしょうか(笑)。
これがまた、裏事情的なことを言うと「4、5、6は夏」が完全なワケでは無いのです。解釈によって微妙な月もそれぞれにあるのですが、入試に出る季語の範囲はこの分け方で理解してもらえばほぼ押さえられます。こういったルールの多い分野では、難しく思わせないのも技術かなと個人的には思っています。
次回は秋に行きます。


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