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2005.01.30

「朝まで生テレビ」の教育論

 本当は合格体験記を続けようと思っていたのですが、今まさに受験中のご相談などを受けているとなかなか進まず…。またの機会に続けたいと思いますm(__)m


 昨日は「朝まで生テレビ」が教育問題だったので最後まで見ました。色んな意見があったなかで引っかかったのはこんな言葉です。


・学ぶためのモチベーションが低下している。それは将来に希望が持てないからだ。大人が人生を楽しんでいないからだ。

・「詰め込み教育」の反動が「個性を伸ばす教育」=「ゆとり教育」だったが、結局のところ学力低下ばかりが取り沙汰される。

・現場に予算もスタッフも与えないで「総合学習の時間」って言っても、効果があるものができるわけがない。
・「生きる力」をつける教育が必要だ。

・みんな他力本願だ。親は学校や社会のせいに、子どもは親や教師のせいに、教師は国や親のせいにする。

・経済格差が学力格差になる現状を阻むには公教育を良くしよう。


…他の調べ物などしながら見ていたので曖昧ですが、こんな話があったはずです。立場の違う人たちの意見を一度に聴けるのは、貴重な機会でした。


この中のいくつか「経済格差=学力格差」については一度書いたことがあります。だからこそ公教育の改革大歓迎、そうは言っても改革の方法は「ケース・バイ・ケース」としか言いようがない。


なぜ荒れているのか。
なぜ生徒の学力が伸びないのか。


 私が校長をしていた地域には5つぐらいの公立中学から生徒が来ていました。うち1つはひどく荒れていました。聴こえてくるのは「学校のパソコンが生徒に叩き壊された」「廊下を自転車で走っていた」という話ばかり。

 もう1つは進学率も高く授業はハイレベルでした。教師の趣味が反映された高度な問題も出され、テスト対策に悩んだものです。宿題も多い。当然、意識の高い生徒が多く進学実績もいい。


 …同じ市内でなぜこういう差ができるのか。教師が悪いのか、細かい地域性の問題なのか。結局は内部まで入り込んで、地元の事情もリサーチしながら考えないとわかりません。

 試しに、会社を立て直すのと同じ手法で考えてみます。

 学内の「どうせウチはこういう学校だから」とうい思い込みに風を通すために外部からもスタッフを入れてチームを作ります。その時大事なのは、学校側の人間が素直に現状や、指摘された改善点を受け入れることです。

 それだけに、このスタッフは「ただやってきて指摘して帰っちまう」人ではダメでしょう。しんどい学校業務の中で改革ができない現場の先生の代わりに、話し合いで決まったことを動いて実現するスタッフでなければ意味が無い。

 学校の先生たちは何も考えていないのではなく、「わかっているけど時間が無い」部分も大きいのだと推察します。私が塾の社員だった時、コンサルタントが現場も見ずに「ああしろこうしろ」と偉そうに研修しているのをバカにしていました。下手なやり方をすると、学校改革どころか引っかきまわすだけで終わってしまう。


 現場の事情を押さえつつ、行政や地域と橋渡しをして学校改革を推進するスタッフ。これを民間と地域に求める形で「公立改革」は個々に進めるのがいいのではないかと考えます。


 もちろん、こういった動きは徐々に出てきていますが、まだまだ一部の学校や地域だけ。そこで「待てない」親が受験という選択をするのはやむをえない部分があります。


 …じゃあお金の無い家庭は?甘んじてろっての?


 いや、「自衛」の方法は別に「受験をして私立に入る」ことだけではない。人の痛みがわかり最低限の礼儀をわきまえ、知的好奇心に溢れて、勉強と努力の喜びを知っている子ども。これはあくまで私がイメージする「世の中でタフに生きていく子ども」の条件なのですが、こういう子どもは「○○しなきゃ育たない」という類のものではないと思います。


 それは親の力でも可能ですし、ある程度大きくなれば子ども自身の意志でも可能です。


 …でも書いていて思うのは、こういう理屈を並べても結局ひとり一人を見てみないと何とも言えないな、というのが正直なところ。家庭の事情やその子の特性でまったく違う。


 お正月に明石家さんまの番組で「あなたの夢を叶えます」というコーナーがあり、ギターのむっちゃ巧い5歳児が熱く語り、Charとセッションをやらせてもらってました。その子の帰り際、Charがその子に投げた一言。「勉強なんかするなよ」―いい言葉です。


 こういう「1点豪華主義」な子どもってオモロい。もうひとり、昨日の「探偵ナイトスクープ」で昆虫の形を切り抜く「紙切り」のやたら巧い小1が出ていて、これまた自信たっぷりで目がキラキラしている。


 自分だけの「1点」をいつ見つけるか。その選択肢を広げるために受験・私立進学を選ぶ子もいれば、その受験勉強の中で「オレは算数の先生になるねん」と見つけてしまう子もいる。受験をせずに外を飛び回っていて見つける子もいる。だから、ひとくくりで話はしにくい。
 

 教育全体の是非を問うのではなく、まずは身近な子どもの状況の是非を考える。教師は自分の生徒を、親は自分の子どもを。複数の意見が乱れたら、子どもとじっと向き合う。子どもなりの意見を聴く。でも甘やかさない。

 
 子どもに関わる全員が、「他力本願」を脱却すれば自ずと教育全体も変わっていくのではないかと思います。


 …塾という現場で色んな子どもと学校を見てきた、私なりの見解です。
 

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◆くろねこ@国語塾:バックナンバーはこちら
http://www.kikaku-ya.net/kuroneko/study.htm

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コメント

初めまして。
何かでくろねこさんのブログを知り
ずっと読まして頂いてます。

私自身受験らしい受験をしたのは
高校入試くらいで、大学も付属でしたので
いわゆる受験戦争なども経験してません。

だからあまり塾っていいイメージもって
ませんでした。
長男は小2で、塾には行かせてませんが、
まわりの友達はほとんど公文へ通ってます。

これからも通わせるつもりはありませんが、
なんかくろねこさんのブログ読んでると
ある時季は塾に入って勉強と真剣に向かい
あうのも悪くないかなって思いました。

これからもよろしくお願いします。
初めてなのに長々とすいません。


投稿: Ryoman | 2005.02.03 17:44

こんばんは。
私も見てました。
ゆとりの経過は詳しく語られていましたが、司会の田原さんが今いち現場に詳しくないので、いつもの厳しい突っ込みにかけてちょっと残念でした。

学校の先生に一番感じて欲しいことは「学問を通じて子供に哲学しろ。」です。
特に中学以降、教師は散々専門の勉強をしてきたはずで、「なぜ勉強しなくてはならないか?」なんていう質問を受けるまえに、それぞれの専門の分野で一体何を子供に伝え感じて欲しいのか・・その部分をもっと真剣に授業でぶつけて欲しい。
数学は人生の哲学そのものだし、計算1つとってもそのまま全ての仕事の手順につながるわけで。

学問を通じてどう人間として成長していくか・・じゃないと勉強が経済でしか語られなくなる。

学力低下なんて
先生の教材の共有化
適切な主題管理で随分効果があがるはずなんだけどな。
そう、それから、世界の中学生の部活を比較しないとね。
中学生・・部活でエネルギー吸い取られてる。

水谷氏の健康が心配です。

投稿: さとさと | 2005.02.04 23:20

教育問題、問題点が多すぎて何をしていいか分からなくなってます。

そんな中で、「7つの習慣小学校実践記—ミッションが書けた!自分が変わった!!」を読んでこの中に解の一つがあると思いました。

教える側も学ぶ側も今の自分に新たな気付きを見いだし、実行していく事が必要だと。
この実践記、小学生にも分かる様にさせたものですが、噛み砕かれているので大人もついやってみようという気にさせます。

投稿: aran | 2005.02.05 17:50

>Ryoumanさん

コメントありがとうございます。

>ある時季は塾に入って勉強と真剣に向かい
>あうのも悪くないかなって思いました。

そうですね。学校と習い事や趣味でいっぱいいっぱいならそれでいいんですが、ゲームやパソコンに子どものうちからハマって時間を無駄に使ってるぐらいなら、やはり子どもの義務は受験教育に限らず「学ぶこと」だと思っています。

>これからもよろしくお願いします。
>初めてなのに長々とすいません。

いえいえ、こちらこそよろしくお願いします!

投稿: とと | 2005.02.10 00:41

>さとさとさん

>学校の先生に一番感じて欲しいことは「学問を通じて子供に哲学しろ。」です。

いい言葉ですね。私が古典を好きになったのは、休みの度に万葉集の遺跡を訪ねて奈良に出掛けていく古典教師の姿と、熱く古典の面白さを語りまくってくれた授業のお陰でした。

ギフチョウに狂ってる理科の先生とか、井上靖の担当編集者だった日本史の先生とか、何だか変な先生が多くて楽しかったです。

勉強は本来楽しいということ、努力は大人になるために試されているということ、難問をクリアする達成感、学校はそういったものを日々味わえる場所であってほしいと願っています。

また部活のことなど、考えるべきテーマは山積みですね。ご意見ありがとうございましたm(__)m

投稿: とと | 2005.02.10 00:49

>aranさん

コメントありがとうございます。
数学を今も苦手にしているので、勉強になります。

教育問題、問題点が多すぎて何をしていいか分からなくなってます。

>そんな中で、「7つの習慣小学校実践記—ミッションが書けた!自分が変わった!!」を読んでこの中に解の一つがあると思いました。

情報ありがとうございます。探してみますm(__)m

もともと子どもの時ってぼんやりしか将来のことを考えていないものなんですが、大人が迷走すると余計子どもは白けていくような感じがします。

自分の人生は自分で掴め、と言ってやりたいです。

ご意見ありがとうございました。

投稿: とと | 2005.02.10 00:54

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