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2005.03.24

「語句の意味」の教え方。

 質問をいただきましたので「語句の意味の教え方」を書いてみようと思います。これは「教え方」というほどじゃないのですが、やはり「おみやげノート」を使って出てきた語句を「文ごと記録する」ことをずっとさせていました。前の塾で「おみやげノート作り」を実践している国語の先生がいまして、教師になりたての頃にその先生の模擬授業を聴いてから「授業で何を持って帰らせるか」について、真剣に考えるようになりました。

 

 私の場合は、授業の予習の段階で「この語句とこの漢字、この著者の別の作品、対義語」などとチェックをして10項目以内にまとめ、「おみやげ」を最初に決めていました。

 

 そして黒板を最初に向かって左:右=1:3の位置に縦線を引き、左側には「おみやげノートに書く内容」、右側には「テキストに書き込んだり、文章を理解したりするための落書き」として授業を運営していました。子ども達は授業中、左側に書かれた難しい語句の意味を常に確認しながら文章を読み進めることができますし、ノートの中が「(どうせ読まない)文章の分析と大事な語句の意味」などがごっちゃにならずに済みます。

 

 このやり方も、2度目に入った塾では「テキストに答えや解説を書かない」ことを要求されたので少し変えましたが、基本はこのやり方をしています。(テキスト書き込み形式の「どんな初心者でも国語の授業がうまくできるテキスト」を作ったことがあるのですが、さすがにネタが古くなって使えません)

 

 そして言葉の意味の教え方ですが、私は辞書引きでアホみたいに時間を食ってしまう子どもが心配なのと、辞書の意味が使えない説明であることが多いので、最小限に絞って「わかりやすくアレンジした意味」で教えています。保護者会などでは「お母さんがわかる言い方に直して教えてやってください」とお願いしていました。

 

 これは今でもやっていることで、ダンナとテレビを見ていてよくわからない外来語が出てくると「“コンプアライアンス”って何だろね」「“法令遵守”って書いてあるけど」「あー『法律をきちっと守る』ってことか」と話し言葉レベルに直して確認をしています。(「教師のくせにそんなことも知らんのか」という批判はスルーで)家族でこういう会話を重ねることが、「生きた語彙力の育成」につながると思います。私は手元に広辞苑入りの電子辞書をいつも置いていますが、辞書の意味だけではすっと入ってこないんですよね。

 

 そして時間の許す限り(そして子どもの記憶が混乱しない限り)、例文を作らせたり対義語・類義語や同じ漢字を使った別の語句を教えたり…と「語句を多角的に教える」ことを心がけていました。

 

 例えば「概念」という言葉があります。渋谷幕張で2003年に出た問題の中に出てきて、ちゃんと問題のそばに意味が書いてあります。

 

 「概念」=物事の本質をとらえる思考の形式。物事の本質的な特徴とそれらの連関のこと。

 

 …おそらく子どもには意味不明です。逆に試験会場でこの注釈で焦るほどの、難解な解説です。辞書を調べてノートに写す行為もムダではないのですが、せっかく授業で教えるのであればもっと「あぁ、そういう意味か」とわかるように教えたい。

 

 「概念」の「概」を大きく書いて「『木』っていう字が入ってるやろ。この字には『だいたいの枠(わく)』って意味があるねん。じゃあ『念』ってどんな意味やと思う?」と聴いて熟語を言わせたり「想念」「思念」などを教えたりしながら、「『心』が入ってるから『考えてること』って意味がある字やで」と教える。

 

「『概念』は『あることについて、心の中で大まかに考えていること』という意味やと思えばいい。これでもまだ難しいな。じゃあ今から先生がむっちゃアホな人になるから、何にも知らん人やと思って『魚』って何か教えてくれへん?」 と質問を投げる。

 

 そうすると子ども達は「水の中にいて泳ぐ」「ヒレがある」「食べられる」などと教えてくれます。それを黒板にばーっと落書きして「そうそう、君たちは『魚』というものについて『水の中にいて泳ぐ生き物でヒレがあって食べられる』という『大まかに考えている』ねんな。これが君たちの『魚』の『概念』、つまり『大まかな考えの枠』やねん。じゃあ今度は『平和』の概念をまたアホな先生に教えてちょうだい」…こうして言葉のレベルを上げつつ、「概念」という言葉の意味を実感させていきます。

 

 そしてできるだけ授業の会話と連動して、インパクトに残りそうな例文を作ってやる。

 

 例文:ぼくは「魚は泳ぐものだ」という概念を持っている。

 

 読み・漢字・意味・短文をまとめて教え、授業の中で使ってみせること。一度出てきた語句は次に出てきたら誰かを当てて復習すること。(わからない時は「おみやげノート」を見てもいいことになっていた)この繰り返しが語句を鍛えるのではないかと思います。読解の中で教えるチャンスを逃がさないのもコツ。

 

 他にも色んな先生がいますので、参考にしていただければ幸いですm(__)m

 

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コメント

こんにちは。
先日書いたコメントがなぜか登録されていなかった。。。確認だけ押して、送信していなかった可能性大です(T0T)・・・

Yomiuri Weekly読ませていただいました。主人がたまたま買っていたので・・・(^^;

くろねこととさんの記事を読ませていただいて、英語を教えるとき使えないかな~、といつも考えています。
この記事についてではありませんが、漢字練習と同じく、量を要求される英単語練習。。。私はだれにもかれにも「100回」とかいう宿題が大嫌いでして(地元中学にはこういうのはざらにある。。。時間の無駄だ(--;)、集中して1回っていいなぁ、と以前の記事を読んで思いました。

投稿: serena | 2005.03.25 18:04

serenaさん

>私はだれにもかれにも「100回」とかいう宿題が大嫌いでして

まぁいつの世もありますよね。忍耐力をつけるのが目的ならいいんですが(笑)。

>集中して1回っていいなぁ、と以前の記事を読んで思いました。

英語は単語帳を作るのが大好きでしたよー。
あれも一回キレイに書くので、いいかもしれませんね。

投稿: とと | 2005.03.28 02:14

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