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2005.03.28

「抽象的」VS「具体的」

 前回「語句の意味の教え方」を書きましたが、その中でも私が最初に力を入れて教える「抽象的」と「具体的」の意味の教え方を、実況中継風に書いてみたいと思います。これはイベント授業でもやったことがあります。

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 「よく問題の中に『具体的に答えなさい』って出てくるけど、『具体的』ってどういう意味かわかるか?」

 生徒「なんとなくやってるけど、そう言われるとわからん」

 「よし、じゃぁ今日は『具体的』の意味がわかるようにしよう。まずおみやげノートを出してちょうだい」

---《板書》------------

 ●「抽象的」=ぼんやり大まか
     (例)
  
    ↑
    ↓

●「具体的」=くわしくて細かい
     (例)

------------------

 「まずここまで書いたら、例のところは空けておいてな。さて田中、こっちの字読めるか?」

 田中「ちゅうしょうてき」

 「よっしゃエライ!わからんかった人はしっかり読み仮名書いてちょうだい。字の細かい意味はまた教えるから、最初にちょっと質問させてな。今から黒板に書くのは落書きやから写さんでええよ」

---《落書き用板書》------------

 甘いもの

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 「じゃあな、オカンが君たちに1,000円渡して『甘いもん買ってきて』って言ったら、君たちは何を買ってくる?この列当てるからどんどん答えてちょうだい」

 「アメ!」「まんじゅう!」「ケーキ!」「チョコレート」「砂糖」※どんどん黒板に写す

 「そうそう、買ってくるもんバラバラやな。これお客さんに出すつもりの『甘いもの』やったら悲惨やね。『砂糖』買ってったら怒るやろうなぁ~。でも、これはオカンの言い方が悪い」

---《落書き用板書》------------

 甘いもの

   ケーキ  チョコレート  アメ
    砂糖  まんじゅう  ようかん
   カステラ  ハチミツ  ガム

----------------------
 ※大きな○で後から出てきたものを囲みます。


 「だってケーキもチョコレートも砂糖もみーんな『甘いもの』で間違ってないよな。こういう『大まかであいまい』な言い方を『抽象的』って言うねん。逆に『ケーキ』とか『チョコレート』とかもっと『くわしくて細かい』言い方を『具体的』って言うねん。じゃあ、『ケーキ』をもっと『具体的』にしてみよう。酒井、君やったらどんなケーキを買ってくる?」

 酒井「えーっとイチゴの乗ったケーキ」
 「いくらぐらいなん」
 酒井「300円ぐらい」
 「どこで売ってるの」
 酒井「えーっと不二家かな」

 「よしありがとう。オカンは最初から『不二家で300円のイチゴの乗ったケーキを買ってきて』と言えば、砂糖を1キロ買ってくるという悲劇は避けられてんな。『具体的』っていうのは、どんどんくわしくしていける。じゃぁもう少し聴いてみよう。『怖いもの』これは抽象的な言葉やな。じゃあ、この列の『怖いもの』教えてちょうだい」

 「オカン」「雷」「火事」「交通事故」「先生」「犬」

 「ふーん。林は『オカン』が怖いねんな(だいたい1人はいます)。ほんならもっと『具体的』にしてもらおうか。林が怖いのはどんな時の『オカン』や」

 林「テストが悪かった時」
 「どんな風に怖いん?」
 林「鬼みたいにほえる(笑)」
 「『テストが悪かった時の鬼みたいに吠えるオカン』が林の怖いもんやな。こうすると具体的やろ。まぁ、オカンを鬼にせんようにがんばれ(笑)。じゃあまた別のことを聴こう。『自然』っていう言葉は『抽象的』、『具体的』どっちやと思う?」

 生徒「抽象的」
 「せやな。ぱっとイメージがわかない、大まかであいまいな言葉や。もしかしたら木のことかもしれんし、海のことかもしれん。そういう細かいものを全部包んで『自然保護』と言ったら海や空や木や色んなものを守りましょう、ってことやろ。だから『自然』というのは『抽象的』な言葉やね。『美』なんかもそうかな。これで大体この2つの言葉の意味はわかってきたかな」

 「それから『具体的』という言葉が、どんどんくわしくできるってのがわかったやろうけどテストで『具体的に答えなさい』と言われたら『文中に書いてある一番くわしいことを答えてちょうだい』という意味やで。だから問題をやる時にもっとくわしいところが無いか探してから答えを決めよう。じゃあ、おみやげノートに例を写しておこうかな」

---《板書》------------

 ●「抽象的」=ぼんやり大まか
     (例)甘いもの・怖いもの・自然・美
  
    ↑
    ↓

●「具体的」=くわしくて細かい
     (例)イチゴが乗った300円のショートケーキ
        鬼のように怒るお母さん
        
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 大体、こんな感じで時間を使って教えます。少しハイレベルなクラスだと「出」「形」などの漢字の意味から入ることがあります。

 これを一度教えてからは、授業中でしばしば「具体的に」を要求します。「宿題忘れました」「理由を具体的に言いなさい」「忙しかったから」「もっと具体的に!」「算数の宿題で忙しかったから…」と答えて、私を余計に怒らせたりしてくれますが「具体的に」を日々の会話の中で印象づけています。

 試しにこの2つの意味を知っているか聴いてみてください。予備校の「京大・阪大クラス」でもわかってない子がいました。一度きちっと知っておいた方がいいと思います。

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  http://www.kikaku-ya.net/kuroneko/study.htm

 ◆「くろねこ@古文塾」はこちら。
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 6月に東京・大阪を考えています。7月は名古屋でどうしようかというところ。黒板のある会場を探しているところです。土曜日の午後~夕方になると思います。

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コメント

お礼が遅くなってすみません。
2回にわたっての「語句指導」ありがとうございます。
「抽象的・具体的」の教え方もとてもわかりやすかったです。
語句ノートの活用法・授業での説明といろいろ勉強になりました。
このブログは毎回、不安に思っていることが解消されたり、
新しい課題に取り組む活力になったりしています。
毎回試行錯誤しながらの授業ですが、少しずつ良いものになるよう頑張ります。

投稿: ya | 2005.03.30 10:06

>yaさん

お返事遅くなりましたm(__)m

生徒以上に、教師は学び続けて工夫を重ねていかなければいけないと思っています。私もまだまだ、現場にいるという形ではありませんが成長していきたいと思っています。

現場にいる人の悩みを聴くと、改めて国語教育を考えるきっかけになります。またお気軽に意見や質問などをお寄せ下さい。

意欲のある先生に習っているyaさんの生徒さんは幸せだと思いますよ(^o^)丿

お互いがんばりましょう!

投稿: とと | 2005.04.15 20:02

はじめまして。検索してたらここを探し当てました。私も塾の講師をやってますが、共感できるところが多々ありまして、感動しました。私も最近ブログをはじめたので、もしよろしければリンクを貼らせていただきたいのですが・・・。

投稿: わく | 2005.09.18 20:35

わくさん

ぜひぜひ、リンクは自由です。
色んな先生がノウハウを出すことで、役に立つ人がいると思うのでお互いがんばりましょう(^o^)丿

投稿: クロネコとと | 2005.09.24 13:24

すごいわ、!
めちゃわかりやすかったです。私の目標は、

" The great teacher changes the world!!"
です!

どうもありがとうございました。

投稿: yume | 2008.07.13 17:44

yumeさん

>めちゃわかりやすかったです。

ありがとうございます!
昔のエントリにこうしてコメントをつけていただくと、嬉しいものですね。


>私の目標は、
>" The great teacher changes the world!!"

いい目標ですね!>英語の先生ですか?
私も教育は30年後の日本を変えると思って取り組んできました。世界中の教師が「教育で世界が変わる」と思えば、そのパワーは計り知れないですよね。

元気が出ました、ありがとうございます!


投稿: クロネコとと | 2008.07.15 02:41

少し前にコメントいただいた方の分を、スパム削除中に消してしまいました。

記事を評価してくださってありがとうございます。

また懲りずに何かあれば、書き込みしてくださいね。すみませんでした。

投稿: クロネコとと | 2009.04.26 11:54

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