思考を止めるな
テスト対策授業をやっていて、「自分の言葉で書きなさい」という考えさせる問題がありました。生徒は、全員空白です。1人を当てて、質問を会話に崩して再度質問しました。「話し言葉でいいから、答えてみて」と言った時、間髪いれず返ってきたのは「わかりません」という答え。一瞬も考えずに。
……そう言えば逃れられると思っているのです。
このように、反射的に逃げてしまうのは子どもだけではありません。大人だって「好き・嫌い」「快・不快」「知っている・知らない」でさっさと答えを出してしまう。マスコミの報道を鵜呑みにして、または一部の声の大きな人の意見に乗って安心していることが多い。
大人に「頭を使え」というのは難しいのですが、子どもは「頭の使い方」を学んでいる段階です。思考停止を許してはいけません。
「うーん、それは『わかりません』じゃなくて『考えてません』や。せっかくええ頭持ってるねんから、もう少し粘って考えよう」と質問を重ね、答えを引き出す。教師はこの作業を面倒がってはいけないのです。1人の生徒に質問しながら、他の生徒にもちゃんと考えさせる。散発的に他の生徒も当てていけば、考える時間は効率よく作ることができます。
私はただひたすら、こう言いつづけます。
「思考を止めるな」
思考を止めた人間には、退化しかないのです。
記述問題や、難しい文章からさっさと逃げてしまうと、それ以上子どもは賢くなりません。柔らかくした離乳食ばかり食べさせていてはいけない。ハードな文章を与え、語彙力を鍛え、思考力を育てる。さらに「興味を持たせながら楽しく教える」というハイレベルな領域を目指すために、私も思考を止めないよう努めています。
考えて考えて答えがつながって来た時の、快感。
それは人が用意したプログラムの中で翻弄されるゲームには無い、快感です。
もやもやとした「わからない」を抱え込んだまま通り過ぎる癖をつけないように、気をつけてください。
子どもは「わかったふり」の天才です。
=========================
〔本日の会話〕
テスト範囲の「竹取物語」が終わった後で。
私「かぐや姫って実は『月の世界で悪いことをして罰で地球に来てた』って知ってるか?そう考えると、5人の男をツライ目に合わせるわ死者は出すわ、ずうずうしいなぁって思うねんけど」
※「かぐや姫は、罪をつくり給へりければ、かくも賤しきをのれがもとに、しばしおはしつる也。(かぐや姫は罪を犯したので、卑しいお前〔竹取の翁〕のところ)にしばらくいらっしゃったのだ)」と原文にある。
生徒1「そうなん?あんな小さいのに!どんな悪いことを…」
生徒2「万引き?」
私 「うーん、それはあまりにも情けなくないか?」
生徒3「いや、あんな体ではナンもできひんやろ。罰で小さくさせられたんちゃうか」
生徒1「あっ、だからあっという間に大きくなったんや!」
なかなか、斬新な解釈で微笑ましかった。
========================
◆くろねこ@国語塾:役立つ厳選バックナンバーはこちら
http://www.kikaku-ya.net/kuroneko/study.htm
◆著書「女子力UP!」販売ページはこちら
http://tkj.jp/books/4796648143/
◆国語・教育関連の執筆・講演依頼をお請けします(実績あり)。
メールでお問い合わせください。



Comments
とと先生、ご無沙汰しております。
Sachi-netのSachiでございます。
思考をやめるな、
本当にその通りです。「わかりません」の天才です。
僕も思考力をつけるための授業を心がけて、常に言い続けているし、その教育を僕の障害の使命にしたいと考えています。
「なぜ」を考えていって欲しいんです。で、その「なぜ」を考える過程に「何が」とか「どんな」とかがあると思うんです。その過程を辿りながら「なぜ」に行き着くことが大切だと考えているんですが、これは子供たちにとって楽な作業ではありません。でも、その作業は決してサボってはいけないんです。
それに関連して僕が重要視していることは「文」です。文で答えるように子供たちを鍛えたいです。単語でモノをいう人が多いように思います。でも、それらを文章に組み立てることで思考は育つのだと考えています。
先生の記事、非常に感激しました。尊敬いたします。
長文となりました。申し訳ございません。
失礼いたします。
Posted by: Sachi(学習塾講師のブログ通信Sachi-net) | 2005.10.24 at 10:32 PM
Sachiさん
熱のこもったコメントありがとうございます。
子どもも大人も思考力は必要だと思っています。会話で国語を鍛える時に、文できちんと答えさせるのが基本だと考えています。
ただどうしても、入り口の質問で黙り込んでしまうので、細かい質問を重ねて文にさせる、慣れてきたら最初から文で答えさせるという積み重ねを、3ヶ月~半年続けてようやく形になってくるという印象です。
これまた、私の教えている生徒はそこそこ学校でできる層という贅沢な環境であるにも関わらず、そこでもじれったい思いをしています。
「細切れ日本語」で通用してしまう流れが進むべきではないと思うのですが、携帯文化が拍車をかけてしまっているのが悩みの種です。
Posted by: クロネコとと | 2005.10.31 at 12:04 AM
生徒の思考を促す意味で、私は「構造の整った複雑な文を綴る」というのが有効なのではないか?」と考え、実践中です。
名づけて「逆穴埋め方式」。後始末が結構大変ですが、生徒に自由に書かせるのに比べたらずっと楽で、なんとかこなせています。
こんなやり方はどうでしょうか?
Posted by: 競輪王 | 2006.01.01 at 05:21 PM
競輪王さん
>生徒の思考を促す意味で、私は「構造の整った複雑な文を綴る」というのが有効なのではないか?」と考え、実践中です。
中高生なら有効ですね。
小学生だと会話で展開してから、清書させる練習をしています。
「なぜ?」「どうしてそう言えるの?」を突き詰めて、出た言葉をきれいな流れに清書させる。
そのうち、自分でやるようになります。
高校生は長文が書けるようになってほしいので、競輪王さんのやり方は良さそうですね。成果などあれば、ぜひお知らせ下さい。
Posted by: クロネコとと | 2006.01.12 at 01:28 PM