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2006.07.17

「一流校」ってナニ?

「AERA with Kids」と週刊朝日の増刊号「一流校に入る」(P92~97)で、関西の私立中の分類を行い記事にまとめる仕事をしました。

 

 分類方法やコメントについて、各校の方や塾関係者の方などの異論はあろうかと思います。単純なくくりや対立構造で分類できるほど、学校の持つ顔は単純ではありませんが便宜上の分類を行いました。

 

 この仕事を通して感じたことをまとめてみます。

 

 

 

 

◆子どもは親の作品じゃない

 

 

 現在、教育・受験がらみの雑誌は父親をターゲットに拡大しています。

 

Photo

 

 

 ※「プレジデント Family」はお腹いっぱいで買ってない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回の仕事は、雑誌のタイトルを知らず、送られてきた表紙を見て絶句。

 

 

「一流校に入る」
なんて生々しいタイトル。

 

 私が子供だったら、こんなのが家に置いてあったらプレッシャーで潰れます(笑)。

 

 私の書いた部分は偏差値だけによらない私立の分類・分析なので、雑誌の作り手は売るためのタイトルで手に取らせ、中身にはちゃんと中学入試絶対論を考え直すような記事も含まれています(特に「親が知らない『私立の常識』」は必読)。情操教育やコミュニケーションの助けになる、有意義な記事も多く含まれます。

 

 占いのいい結果だけを信じるように、「子どもを勝ち組にする方法」といった甘美な響きを持つ記事だけを読んで、我が子にもできると単純に思いこまないでほしい。受験をするのは子供です。

 

 
 正直なところ、これらの雑誌のいくつかのページで私は本当に胃からすっぱいものが上がってきました。大きな声で言いたい。

 

 「子どもはあんたたちの作品じゃない!」

 

 数々の、親のプレッシャーで潰れそうになっていた子どもたちを思い出します。私の前で「受験やめたい」と号泣した子ども、受験が近づくにつれチックの症状がひどく出てきた子ども、ストレスを暴言やいじめで解消する子ども。

 

 

 残念ながら、情熱を注いでも思いどおりの作品に仕上がらないことが多いもの。期待しないぐらいがちょうどいい。昔からよく「育て上げる」という言葉がありますが、社会人としてやっていける自立心と思いやりを持った大人にさえなってくれれば十分だと思うのです。

 

 

 少ない子どもに対して、寄ってたかって構い過ぎ、期待し過ぎ
 もうちょっと抱きしめた腕をゆるめて、「遊び」の部分を作ってやってほしい。

 

 それは甘やかす、とは違う。

 

 最低限のしつけをして、どーんと構える「親のふところ」をもう少し広げてほしいのです。

 

 

 

 

◆「母性信仰」で教育を語るな

 

 

 こういうことを書いていると「子どもを産んでないからわからないのよ」と言う母親達に会います。私に向かって「教育をやっているなら産まないと、説得力が無いじゃない」と言った教育カウンセラーにも会いました。

 

 
 優れた教師には男性も多くいますし、若い女性もたくさんいます。特に塾講師はハードな仕事のため、他人の子どもを構っているうちに結婚・出産の機会を逸するなんて笑えない話も多く聴きます。「母性」を振りかざさないと教育が成り立たないなら、今の教育現場の人材はいなくなります。

 

 

 私が「母性」になぜ全く信頼を置いていないか。
 答えは簡単です。
 
 私は「産みの親の顔を知らない」からです。

 

 私が妊娠中、母親はずっと中絶を希望していたそうです。
 (そんな話を小学生に聴かせた、継母もどうかと思うけれど)
 そして産まれてすぐ、乳飲み児である私を置いて、3歳上の姉を連れて家を出ました。

 

 父親が帰ると、私がぽつんと部屋で転がっていたそうです。
 そして父親は現在の母親と再婚しました。
 小2で事実を知るまで、私は無邪気に両親は自分の親だと思っていたほどです。

 

 育ての母親は色々ありましたが、私にとって大事な人です。
 産みの母親は私に会いに来たこともありません。
 「産んだ人の母性」に満たされなくても、私は大人になれた。
 
 「お腹を痛めて産む」ことにどれほどの価値があるのか。重さがあるのか。昨今の虐待のニュースを聞いても思います。

 

 

 「母性」なんていう、不確かなものに頼っていては教育はできない。
 ただ目の前の子どもに、向き合うだけです。
 彼らは母親の付属物でも、父親のプライドを満たすものでも、何でもない一個の人格です。

 

 

 少々頼りなくて、すぐに形を変えるやわらかなものに見えて、
 あるきっかけで、ぎゅっと硬く鋭いカタマリになってしまう。

 

 教師である私の目の前に、毎年1つや2つはそんな“カタマリ”が差し出されました。
 そして私自身もそうだった。

 

 預かったカタマリの尖ったところを認めながら、少しずつほぐしてやる。私にその仕事をしてくれたのは、高校の先生達でした。

 

 

 

 

◆本当の「一流校」とは

 

 

 私が通っていたのは、桜花学園という名古屋の私立女子高です。当時は名古屋短期大学付属高校と言って、公立高校のすべり止め。
 未だに偏差値も合格実績も目覚しい、とは言い難い学校ですが、
 私はここでの3年間で、自分の人生を取り戻しました。

 

 

 心を開かず本の世界にこもりがちの私を、3年間担任だった温厚な英語教師が見守ってくれた。現代文の教師は私に「井筒(旧姓)は物書きになれる、だから書き続けなさい」と言ってコンクールに作品を出してくれた。三島由紀夫や井上靖の担当編集者という異色の経歴を持つ日本史教師は、ちゃんと私を大人扱いして知識を授けてくれた。

 

 
 ……教育は、親にできないことを可能にします
 

 

 自分の子どもに対して、複数の視点で見守ってくれ、真剣に考えてくれる学校。学校全体で教師の質を高めている学校が、真の「一流校」だと思います。教師が起こす事件が絶えないのを見ていると、「学校レベルで教師の意識と質が高い」学校を維持していれば、十分にどの私立も公立も「がんばっている」と言える気がします。

 

 

 

 ただ、矛盾するように聴こえるかもしれませんが、
 私なりの「進学校必要論」があります。

 

 それはまた日を改めて書いてみたいと思います。

 

 

 

 

《余談》

 

 今回の取材で関西の全ての私立中高のHPを見ました。

 

 開ける度にびっくり!
 生徒集めやブランドイメージの構築の上で「論外」のサイトにたくさん出会いました。

 

 チラシや広告に金を掛けても、あんなダサい、使いにくい、ホームページではアクセスした途端に生徒候補者から逃げられます。塾教師としても生徒や保護者に勧める気になれません。

 

 どことは言いませんが、20校ぐらいリストアップしています。
 

 

 

 

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コメント

久しぶりに覗いたら、久しぶりの記事がありました(笑)
うんうんとうなずきながら読んでいったわけですが
最後「私立中のWEB戦略」についてはの下りに
思わず笑ってしまいました

なかなかただでは起きない方ですね(笑)

投稿: 涼人君 | 2006.07.17 17:40

涼人君さん

お久しぶりです。

もっと教育者然と記事を終わるべきだったのかしら
私は具体策を出しただけです。
ホントに酷かったんで(/_;)

別に儲けるためにこの記事を書いたんではないですが、
誤解を受けても仕方ないですね、この流れじゃ(笑)

投稿: クロネコとと | 2006.07.17 17:57

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