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2007.05.10

「詩の授業・実況中継(2)」~反復法と対句法

 現在発売中の「読売ウィークリー」の特集「中学受験『塾選びの極意』」でのコメントと、61ページのリレーエッセイを担当しています。

 

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 さて、詩の授業を続けてみようと思います。
 >>前回の「詩の授業実況中継(1)」からどうぞ。

 

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 「じゃあ、表現技法をやっていこう。さっき、詩には『リズム』を感じるって言ったよね。詩をカッコよくするには、リズムを作るための表現技法が使われるので覚えよう。黒板に書くのを写してちょうだい」

 

 

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 表現技法

 

 リズムを作る表現技法

 

 (1)反復法〔くり返し法〕

 

   まったく同じ言葉、文をくり返して印象づける方法。

 

   例:さいた さいた チューリップの花が
 

 

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 「はい、黒板写したかな?この『表現技法』の『技法』って意味がわかるかな?…わからへん?じゃあ、『技』の別の読み方教えてくれへんかな。わかる人!」

 

 生徒「『わざ』です」

 

 「そう!『技をかける』の『わざ』やな。だから表現をする時の『わざ』って意味やねん。もう1つ、『法』を使って別の熟語を作ってくれるかな」

 

 生徒 「法律」「法則」「方法」
 ※出た分だけ、落書き用の板書にメモします。

 

 「ありがとう。この中で、技に一番近そうな意味はどれかな……うん、『方法』が一番ええね。『表現技法』っていうのは、表現をよくするための技・方法という意味です。で、黒板に書いたのはその表現をカッコよくする方法の中でも、リズムを作るのに使える方法な。最初に覚えて欲しいのは(黒板を指す)これ、何て読むか読めるか?」

 

 生徒 「『はんぷく』」

 

 「よっしゃ、その通り。スポーツテストで『反復横とび』ってあるやろ。横とびを何度もくり返すヤツ。『反復練習』なんて使い方もする通り、『反復』は『くり返す』という意味がある。だから、この表現技法は『くり返し法』っていう別名があるから、一緒に覚えてちょうだい。テストではどっちを書いてもええよ。

 

 反復法ってのは、例の『さいた さいた』の部分に線引いてみて。ここに使われています。ただ『さいた』という言葉を繰り返しただけ。でも、一回しか言わないより、くり返すと調子出るやん。例えば、『でんでんむしむし かたつむり』って歌でも、『でんでんむし かたつむり』より『むしむし』ってくり返すと歌っぽい。さっきのスーパーでかかってた『さかな さかな さかな~』もそうやな。

 

 反復法は、テンポが良くなるっていう長所もあるけど、もう1つは同じ言葉を二回以上くり返されると、『お、大事なことかな?』って印象に残りやすいんやね。だから選挙の時期なんかめっちゃうるさいやん。『山田太郎でごさいます!山田太郎!山田太郎!』って何回言うねん、ってぐらい騒いでるやろ。何回も言って覚えてもらおうってことやねんな。

 

 同じ言葉や文が、そっくりそのままくり返されていたら反復法。またはくり返し法。しっかり覚えてちょうだい。
 

 

 さて、次のヤツな。

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 

 (2)対句法

 

   似た言葉、文を並べて印象づける方法。

 

   例: 黒ヤギさんから お手紙 ついた       白ヤギさんたら 読まずに 食べた  

 

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 「はい、写してちょうだい~。この歌知ってる人、手を挙げてごらん。お、結構いるな。『黒ヤギさんから お手紙 ついた 白ヤギさんたら 読まずに 食べた しーかたがないので おーへんじかーいた さっきの 手紙の ご用事なあに♪』って曲やな。多分、白ヤギは手紙見た瞬間『うまそう!』と思ったんやろな。食べてから『はっ!しまった!』となって、手紙を書く。でも、この曲の続きは『白ヤギさんから お手紙 ついた 黒ヤギさんたら 読まずに 食べた』……って、終わらんやん(笑) それはともかく、この歌詞は出だしの2行に表現技法が使われているので覚えておこう。

 

 『黒ヤギ』と『白ヤギ』
 『から』と『たら』
 『ついた』と『食べた』

 

 ノートのここに線を引いてな。この2つの文、よーく似てるけどちょっとずつ違う。この違うところが、続けて読むと面白い。こうした『よーく似た言葉や文を並べてリズムを出す』方法を、『ついくほう』と言います。読み方わからん人はちゃんと書いておいて。『対句法』の『対』ってのは、『セット』という意味。だから『句』をセットにする方法という意味なんやね。

 

 黒ヤギさんと白ヤギさんをセットにしましたよ、面白いでしょ。というのがこの例。どれだけそっくりな句でも、一字でも違ったらさっきの『反復法』にはならないで、この『対句法』になります。しっかり覚えてください。

 

 
 この、対句法だけでできた素晴らしい詩があります。せっかくなので、黒板にめちゃめちゃキレイな字で写してください。先生も、ちょっとがんばってキレイに書くから。

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 

  雪          三好達治

 

  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降りつむ。
  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降りつむ。  

 

 

 

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 「さて、この詩の2つの文はよーく似てる。でも、ちょっとだけ違う。どこが違う?」

 

 生徒「太郎と次郎」

 

 「せやね、ここの名前が違う。極端に言うと、「たろう」の「た」と「じろう」の「じ」、一文字ずつ違うだけ。だからよく似てても、くり返し法じゃなくて対句法。そして、対句法だから、とても意味がある。『雪』っていう題名やから、作者は『雪』を表現したかったんやろね。この雪って、どんな雪やと思う?嵐みたいな雪やろか、それともそっと降る雪やろか」

 

 生徒「静かな雪…かな」

 

 「うん、多分、そうやろね。『眠らせ』という言葉が、優しいよね。そして『太郎』も『次郎』もそれぞれの家で眠ってる…みんな眠ってる、静かな感じが出てると思うねん。これ、『村中を眠らせ、村中の屋根に雪降りつむ』だったら、ここまで優しい感じは出ないんじゃないかな。人の名前を使って、対句法にすることでひとり一人の眠ってる姿がイメージできる、そんな効果を三好のオッちゃんは狙ったんちゃうかと思います。この詩はよく出てくるので、覚えておこう。対句法を使った名作やね」

 

 

 

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 この対句法で、もう1つ井上ひさしの「なのだソング」を配ることもあります。
 
 雄々しくネコは生きるのだ
 尾をふるのはもうやめなのだ

 

 失敗おそれてならぬのだ
 尻尾を振ってはならぬのだ

 

 女々しくあってはならぬのだ
 お目目を高く上げるのだ

 

 凛とネコは暮らすのだ
 リンとなる鈴は外すのだ

 

 獅子を手本に進むのだ
 シッシと追われちゃならぬのだ
 
 (以下略) 

 

 ……と、面白い対句になってるんですね。この後に出てくる「のだのだのだともそうなのだ」あたりを読んでると、子どもも一緒にテンション上がってきます。私はよく子どものノートに「やるのだ猫」というイラストを描いてたのもあって、朗読すると盛り上がる詩の1つです。

 

Neko2  
 小中学生の教え子は、テストの端や提出ノートに100%描かれてるはずです。
 男子の落書きによって、しばしば悲惨な目に合わされてました。

 

 

 余談ながら「やぎさんゆうびん」の曲ってエンドレスですよね。終わりを知ってる人がいたら教えて下さい。生徒は「どっちもお腹がパンクして終了」なんて酷いことを言ってました。

 

 

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