詩の実況中継(3)~体言止めと倒置法
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教育レポート/edurepo http://edurepo.com
では、詩の表現技法の授業を続けてみます。
>>前回の「詩の授業実況中継(2)」からどうぞ。
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「反復法と対句法を覚えたかな?そんなら、次の表現技法に行こう」
==《板書※本当は縦書き》=============
(3)体言止め(名詞止め)
物の名前(体言)で終わって余韻(よいん)を残す方法。
例:古池や 蛙飛び込む 水の音
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「写した?…ここでちょっと復習をしよう。『体言』って前にやったな。物の名前を表す『名詞』やその代わりをする『代名詞』の別名やね。じゃあ、その反対の『用言』って何のことやったっけ。そうや、このクラスには『用言係』(※)がおったな」
生徒A 「先生、ボクや」
「そーや、まだ覚えてるか?じゃあ、みんなに教えたって」
生徒A 「『動詞・形容詞・形容動詞』!」
「素晴らしい!よっしゃありがとう。…『体言』は名詞・代名詞。これに『~が』や『~は』をつけたら主語になるねんな。で、『用言』は『動詞・形容詞・形容動詞』。これは文の終わりにおって、何になることが多いんやったっけ」
生徒B 「『述語』です」
「せやな。時々こうやって、前にやったことも思い出しといてな」
※用言係…私の授業では、国語があまり得意でない子の“見せ場”を作るために、こういう小さな係を作っていることがありました。他には「文の成分係」「『の』の分類係」など。そこだけ集中的に覚えさせて、国語に自信をつける最初の一歩にします。ちなみに「切れ字係(『ぞ・や・かな・けり』)」が一番人気が無かったです。
「ほんなら、黒板に戻ろう。この『体言止め』ってのは『名詞止め』と同じ意味。どっちを書いても○がもらえます。どんなんかと言うと、とにかく名詞・代名詞でぴたっと文が終わること。例えば、この例の『古池や 蛙飛び込む 水の音』は、普通の文やったらどうやって終わる?」
生徒「『水の音がした』?」
「そうそう、『音がした』とか『水の音が聞こえた』とか。でも、この俳句がそれで終わったら、ちょっとカッコ悪いよな。『古池や 蛙飛び込む 水の音がした』では、だらしない感じがしてしまう。ここを『音』でぽん、と止めるから、エエ感じが残るんやね。この“残ったエエ感じ”のことを難しい言葉で『余韻』って言うねん。読み方は覚えておいて。
『余韻』って言うのは、そうやな、ピアノの鍵盤をポーンと叩いて指を離した後も『わーん』と何となく音が残ってるやんか。それに似てる。体言の『水の音』で止められたあと、あぁ水の音ってどんな感じやったんかなーと頭にふーっと残る感じをイメージしてちょうだい。
『窓の外は雨だった。』って言うより、『窓の外は、雨。』と止める方が…何となく、しみじみするやろ。これが『余韻』。体言止めを使うとリズムもカッコよくなるし、味わいも出るねんな」
==《板書※本当は縦書き》=============
(4)倒置法(とうちほう)
正しい語順からひっくり返して印象づける方法。
例: 走る、犬が。/ 星が光る、キラキラと。
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「これは、漢字でしっかり書けるように覚えてな。字を見てみよう。上の字に送り仮名をつけて、訓読みしてちょうだい」
生徒「『倒れる』」
「『たおれる』でええけど、もういっちょ、別の送り仮名でも教えて」
生徒「えーっと『倒す』…かな?」
「ありがとう、そっちの方がこの意味には近いねん。みんなノートに写した『倒』の字の横に『たおす』って書いてちょうだい。…じゃあ、『置』の訓読みは?」
生徒「『置く』」
「その通り。はい、『おく』って横に書いてね。…『倒置法』ってのは『倒して置く』方法って意味やな。じゃあ、何をひっくり返して置くねんって話やねんけど、ここに書いてある通り『語順』つまり『言葉の順序』をひっくり返しちゃうよ、という意味です。例を見ると『走る、犬が』と書いてある。でも、これって普通はどんな順番で読む?」
生徒「犬が走る」
「そうやね。『星が光る、キラキラと』は?」
生徒「星がキラキラと光る」
「ありがとう。これは『キラキラと星が光る』でも意味は通じるね。こんな風に『あれ?普通の言い方と言葉の順序が変だな?』というのが『倒置法』。使うと、読んでる人をドキっとさせるよね。例えば、高村光太郎という人の『ぼろぼろの駝鳥』という詩があります。今から配るから、ちょっと一緒に読んでみよう」
※著作権の問題で掲載はパスします。
「『…これはもう駝鳥じゃないじゃないか。/人間よ、/もう止せ、こんな事は。』…さて、どこに『倒置法』が使ってあるかな?」
生徒「最後のところです」
「そうやねー。これ、ずーっと高村のオッちゃんは怒ってるワケやね。大自然の中にいるものを、人間の都合で狭いところに押し込めて、ええんか?ってずーっと疑問形で怒ってる。最後に『人間よ、こんな事はもう止せ』って言うより、『もう止せ、こんな事は。』とひっくり返して言われると、『あ、止めなあかん。なんかめっちゃ怒ってはる』と作者の言いたいことの印象が強くなる。
…みんなが自分で読んでそう思うかは、人それぞれやからええねんけど、『倒置法』を使うと、言いたいことが強調されるってのは覚えておいてちょうだい。
『体言止め』と『倒置法』は、普通の文章と違うリズムを作って、余韻や強調の働きをするんやなというのがここまでのポイント。他に、詩のリズムを作るのには『韻を踏む』という方法がある。これは入試には出ないけど、一応書いておこう」
==《板書※本当は縦書き》=============
〔おまけ〕韻(いん)を踏む
同じ、または似た発音の語を使う
(例)寝ているイルカ/夢みているか
チカン アカン
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「この『寝ているイルカ/夢みているか』は『いるか』って発音が一緒やけど、意味は違うよね。後の方の『いるか』は『いるか?』という疑問やな。これは谷川俊太郎という人の詩で、また後で配るから見ておいてください。声に出して読むと面白いよ。
もう1つの『チカン アカン』ってのは、詩じゃなくて駅でよく貼ってあるポスターやねんけど(笑)。関西人にしか通じへんけど、『痴漢』って発音と『あかん!』という発音がよく似てるから、並べたらリズムもええよね。ちょっと駄洒落に近いけど、発音が似てる言葉を使うとリズムが面白くなるから探してみよう。
じゃあ、今から落書き用のスペースに書く条件の言葉を、探して書いてちょうだい」
==《落書き用板書》=============
・「ん」で終わる
・3文字の言葉
※小さな「っ」「ょ」は数えずに
(例)みかん
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生徒「えー何やろ」(しばらく書かせます)
「はい、じゃあ見つけた人、どんどん手を挙げて」
==《落書き用板書》=============
きけん(危険)/しけん(試験)/きほん(基本)/きげん(機嫌)
ふまん(不満)/ふあん(不安)/よかん(予感)
かめん(仮面)/うどん/みれん(未練)/じゅもん(呪文)
オカン/オトン/あかん/知らん/いらん/やらん(関西弁枠)
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※こういうのがウワーッと出てきます。
「よっしゃこのぐらいえええかな。この言葉って、もともと発音が似てるから並べるだけでも詩みたいになるで。どれを選ぼうかな~…よっしゃ、こんなのどうや」
==《落書き用板書》=============
今日の試験
どうもあかん
オカンの機嫌
かなり危険
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生徒「何やそれ」 ※いいのが出てこないと苦しみます
「まー、詩として芸術作品かどうかってことは置いといて、尻尾の発音がそろってるからリズムが出るやろ。これを『韻を踏む』っていうねん。もっと言うと『試験、あかん、オカン、危険』だけでも意味がわからんこともない。ますますテンポが良くなるやん。
ちょっと宿題にしておくから、『あ』で始まる4文字の言葉を並べるだけで、詩を作ってきてください。言葉と言っても『朝焼け』みたいにきちんと終わって無くていい。『朝だね』でも4文字やし、『明日は』でも4文字。とにかく『あ』で始まることと、1行が4文字で作ってきてちょうだい」
生徒 「先生、辞書使っていい?」
「もちろん、ええよ。ぜーんぶ『あ』で始まる4文字ずつの詩やで。楽しみにして待っとくわ」
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今回は2つの表現技法と、発音が作る詩の面白さを伝えるようにしています。時間的に余裕が無い場合は韻の部分を飛ばしますが、実はここが一番面白いところです。
課題は「頭韻」を使った詩を作らせるというものですが、言葉遊びの範疇です。それでも、たまに素敵な詩が出てくることもあり、こういった課題を出すのが好きでした。
自分で今作ってみると、こんなのしか浮かびません。
あしたが (明日が)
あめでも (雨でも)
あなたに (あなたに)
あいたい (会いたい)
…なんかおセンチだなぁ。
※この課題の回答、メールやコメント欄でいただけると嬉しいです。
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コメント
塾で今小5の国語を担当しています。表現の部分の解説でこのブログを参考に授業を進めたところ、とても盛り上がり生徒も楽しんでくれました。今後とも参考にして、良い授業にしていきたいです。大変ありがとうございました。とても助かりました。
投稿: Koe Yoshino | 2008.06.07 19:43
Koe Yoshino さん
嬉しいコメントありがとうございます!
>このブログを参考に授業を進めたところ、とても盛り上がり生徒も楽しんでくれました。
書いてて良かったなぁ~
その授業に私も参加したかったなぁ~と思います。
>今後とも参考にして、良い授業にしていきたいです。
本当は文章解説や記述の指導も書きたいのですが、なかなか難しいんですよね。質問などあれば、お気軽に書き込みやメールくださいね!
投稿: クロネコとと | 2008.06.12 18:43