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2007.08.18

詩の授業・実況中継(4)~比喩

 
 「プレジデント・ファミリー」10月号の特集「『ラブラブ会話術』で国語の成績アップ」(p66~71)を担当しました。書店でご参照下さい。

 

 「ラブラブ会話術」については、このバックナンバーの記事が参考になると思います。
  ◆ラブラブ国語学習法
   http://toto.cocolog-nifty.com/kokugo/2004/05/post_2.html  

 

 

 私は「プレジデント・ファミリー」を筆頭に、中学入試をむやみに煽る雑誌に否定的な見解を持っていました。実際、そのような記事を書いています。しかし、編集部の方とご縁があって話をする中で「地方で読まれている」「公立の教師やノウハウを取り上げている」という点で関心を持ち、お手伝いをさせていただきました。その経緯はこちらの記事で説明しています。
http://edurepo.com/?p=62  
 特集のタイトル脇に「関西の人気塾講師」とありますが、人気かどうかはともかくこの夏はこそっと小4の夏講を8日間やっていました。やっぱり、現場でないとわからないことは多いものです。そのあたりは、また折を見て書いてみたいと思います。

 

  
 それでは、詩の表現技法シリーズ(4)を続けます。
 >>前回の「詩の授業実況中継(3)」からどうぞ。

 

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 「詩にはリズムを作ったり、印象を強くしたりするための『反復法』や『体言止め』や『倒置法』があるのがわかったかな?じゃあ、詩のもう1つおもろいところをやろう」

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 イメージを伝える表現技法

 

 「比喩(ひゆ)」=「たとえ」

 

   似たところを持つものをつないで、イメージさせる方法

 

  例:やかんのようなハゲ頭

 

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 「はいはい、君らホンマにハゲネタ好きやな。笑ってんとちゃんと写してや。写した人から、ノートの隅に、ハゲ頭の人とやかんの絵を描いてごらん」(描かせます) 

 

 「そうそう…その2つの絵、どこが似てる?」

 

 生徒「形が丸い!」「つるつる!」「光ってるところ!」

 

 ※私も黒板にハゲ頭とやかんを描き、その横に生徒から出たコメントをメモします。

 

 「『やかん』は生き物じゃないし、『ハゲ頭』でお湯は沸かせへんやんか。でも、『やかんみたいなハゲ頭』って聴いたら、みんなつるつるのハゲ頭が頭に浮かぶやろ。これは『やかん』の持ってる『丸い形』『つるつるした手触り』『よく光る』という点が、『ハゲ頭』の持ってる『丸い形』『つるつるした手触り』『よく光る』という点と一緒だからやねんな。逆に『やかんみたいな口をして文句を言う』って聴いたら、どんな『口』をしてる人が浮かぶ?…こんな感じちゃうか?」

 

 (口をとがらせている人の絵を描きます)
 
 「これはやかんの口の部分のとがった点と、文句を言う人の口がぎゅーっと前に出る点が似てるから通じるねんな。こういう風に『似たものを並べてイメージさせる』方法を『比喩』とか『たとえ』と言います。作家や詩人はこれをめっちゃ工夫してるねんで。えーっと、比喩の『喩』は書けなくてもいい。テストで答える時は『比ゆ』で丸をもらえます」
※高校入試では書けるように!

 

 

 「でも、テストで『比喩』と答える問題はほとんどありません。『比喩』には3種類の方法があるので、そっちを覚えてちょうだい」

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 

 (1)直喩(ちょくゆ)

 

   「ような」「みたいな」「ごとく」で直接たとえる方法

 

   例: 燃えるような暑さ/雪みたいなカキ氷/嵐のごとく怒る
 

 

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 「はい、これは『直喩』の『直』という漢字に線を引いておきましょう。『直接』の『直』やね。似た2つのものを『ような』『みたいな』でくっつけてあるから、あ、比喩やなってすぐわかる。

 

 『暑い!』っていうのを『燃える』という言葉でイメージさせる。でも、ホンマに体が街が燃えてたら困るよな。火が燃えてるのと似てるぐらい暑いねん、というたとえを『ような』で作ってるねんな。『カキ氷』でも、雪をどっかから運んできてシロップを掛けて食べるわけじゃない。でも、あの白い細かい氷は雪に似てるよな。

 

 それから、ちょっと古臭い言い方で『ごとく』というのも覚えておこう。これも、オカンが怒るたびに家の中で嵐が起きたら大変や。でもそのぐらい勢いがあって恐い!というイメージが伝わるよね。じゃあ、みんなで直喩を作ってみよう」

 

 

 
==《板書※本当は縦書き》=============

 

 ◆直ゆを作ろう!
 
 1.〔      〕のような星空。
 2.〔      〕みたいに泣く。
 3.〔      〕のごとく走る。

 

 

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 「このカッコの中に、それぞれ『星空』『泣く様子』『走る様子』と似たものを入れてみよう。ちゃんと人に伝わる比ゆになってるかな~。(時間をおいて書かせます)

 

 じゃあ、1番から行こう。将来、君らも彼女とか彼氏ができてドライブでも行くかもしれん。さぁ、星空がめっちゃキレイなところに着いた!その時に『何とかのような星空だね』って、カッコよく決めたいところやな。ほい、答えてや」

 

 

 生徒A 「割れたガラスのような星空」

 

 「確かにキラキラしてるところは似てるな。ちょっと切ない感じもしてええね」

 

 生徒B 「チョークの粉みたいな星空」 ※ホンマにいました

 

 「うーん、チョークの粉…細かい点々って感じはするな。でもデートで『今夜の星空は、チョークの粉みたいだね』って言われたら、彼女は帰っちゃうかも(笑)。もう一押し、光る感じを入れたいなぁ」

 

 生徒C 「宝石箱ような星空」

 

 「おぉ、いいねぇ!キラキラしてるし、女の子が『今日の星空って、宝石箱みたい!』って言うとまたカワイイねぇ。他にも色々あるやろけど、星空が持ってる『たくさんある』とか『キラキラ光る』という点に注目してたとえを考えるといいねんな。ついでに、将来、彼女と星空の下でデートする男子のために使える直喩を教えておいてやろう。2人で星空見てるやろ、その時にこうやって言うねん。…『君の瞳のような星空だね』

 

 生徒「気持ち悪いー」「そんなん言われたくないー」
 ※大体、評判悪いです。王道なのに。

 

 「あらそう?センセーはこんなん言われたら、もうどこにでもついて行っちゃうねんけどなぁ。…ほんなら2番に行こう。『~みたいに泣く』は何を入れた?」

 

 
 生徒D 「怪獣」

 

 「『怪獣みたいに泣く!』そりゃ大変な大声やね。これは弟か妹かだれかの泣き方をイメージしたんかな?…そうか、3歳の妹がいるんやね。ものすごい勢いで泣いてるンやろなぁ。見たこと無い人にも伝わるのは、上手な比喩の証拠。うまいなぁ」

 

 生徒E 「雨みたいに泣く」

 

 「こっちは静かな泣き方やね。しくしくずーっと泣いてるような感じかな?いいねぇ。はい、もう1人答えてもらおう」

 

 生徒F 「赤ちゃんみたいに泣く」

 

 「赤ちゃんってむっちゃ泣くから『先生が赤ちゃんみたいに泣く』やと、かっこ悪いほど泣いてる感じがするよね。赤ちゃん以外の人や大人に使うとええ直喩やね。よし、3番やろか」

 

 

 生徒G 「風のごとく走る」

 

 「ええねぇ、めっちゃ素早い感じが出てるなぁ。『ごとく』って古臭い言い方で慣れへんかもしれんけど『風のように走る』『風みたいに走る』って言い換えても同じ意味になるやろ。だから『走る』様子を似たものを入れれば、『風のごとく走る』ような渋~い比喩が作れます。じゃあ、他に書けた人」

 

 生徒H 「チーターのごとく走る」

 

 「これもいいね、チーターって走るのがむっちゃ速い動物やもんな。これが『亀のごとく走る』ではまったくスピードが出ないから、足の速い動物を選ぶとカッコよくなるよね。この『ような』『みたいな』『ごとく』が使ってある、ぱっと見て『あ、比喩やな』ってすぐにわかるのが『直喩』。しっかり覚えよう。今度は、ちょっとわかりにくい比喩を教えます」

 

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 

  (2)隠喩(いんゆ)/暗喩(あんゆ)

 

   「ような」「みたいな」「ごとく」を使わないでたとえる方法

 

   例: 燃える暑さ/カキ氷は雪だ。/怒りの嵐
      君はバラの花だ。
 

 

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 「これはぱっと見た時に、特に『カキ氷は雪だ』って、ナンだ?って思うよね。で、よく考えると『あぁ、雪みたいだってたとえてんねんな』ってわかる。こういうわかりにくい比喩を『隠喩』とか『暗喩』と言います。『隠喩』の『隠』の字に送り仮名つけて読んでちょうだい」

 

 生徒 「隠れる」

 

 「その通り、ありがとう。『比喩』が『隠れている』から『隠喩』っていうねん。ノートにもメモしておいて。もう1つ呼び方があって『暗喩』という場合もある。これは『暗い』って字やから、ぱっと見てわかりにくいっていう意味。さっきと一緒で『喩』の字はひらがなでも丸です。

 

 もう1つ例を書いておいてんけど『君はバラの花だ!』っていきなり言われたらびっくりするやんか。ちゃんと人間の形してるのに、ホンマにバラの花が服来てウロウロしてたら恐いやろ。これは『君はバラの花のように美しい』というのを、隠喩で言ってるねんな。じゃあ、作ってみよう」

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 ◆隠ゆ/暗ゆを作ろう!
 
 海は〔      〕だ。
 
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 「海に似たものをイメージして、『ような』『みたいな』『ごとく』を省いて入れてみてちょうだい。……はい、書けた人」

 

 

 生徒I 「海は青空だ」

 

 「海の『青い』ところと、空をくっつけてんな。波が白いところは、雲みたいに見えるよねぇ。ええなぁ。はい、他に誰か」

 

 生徒J 「海はお母さんだ」

 

 「これは『お母さん』のどういうところを海に似てると思ったの?」

 

 生徒J 「魚とか貝とか、色んなものを育てているところ」
 ※過去に1人、この通り答えた生徒がいました。

 

 「素晴らしい!お母さんが君を育ててくれるところと、同じやなぁって思ってんな。うまいなぁ……『海はお母さんのようだ』って直喩で言っても意味は一緒やけど、『海はお母さんだ』って隠喩で言う方がカッコいいね。作文や詩を書くときに使ってみると『おっ、コイツやるなぁ』と思われるかも。……よし、3つ目の比喩をやろう」
 
 
==《板書※本当は縦書き》=============

 

 

  (3)擬人法(ぎじんほう)

 

   人ではないものに、人の動きをさせる方法

 

   例:太陽が怒っている/風が葉っぱと遊んでいる。
 

 

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 「太陽に『ちょっとウチ機嫌悪いねん、怒ってるでー』という感情はないよな。でも、めっちゃ暑い日に太陽がギラギラしているのを『怒ってる』と人の様子を真似して書くと、表現に工夫があるよね。擬人法の『擬』の字は、『まねする』という意味の字。『人じゃないのに、人のまねをさせる』ことで、生き生きした感じになります。入試では『ぎ人法』と『擬』はひらがなで書いてもオッケーやけど、できれば書けるようにしておいて」

 

 ※高校入試まで『擬人法』と『活喩法』(『風が吠える』など、無生物に生き物の動作をさせること。人の動きとは限らない)は分けて教えません。
  

 

 「それでは擬人法にチャレンジしよう」 

 

 

==《板書※本当は縦書き》=============

 

 ◆擬人法を作ろう!
 
  ひまわりが〔      〕。
 
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 「ひまわりの花にどんな人間の動きをさせようかな…はい、答えてもらおう」

 

 生徒K 「ひまわりが笑っている」

 

 「おぉ、元気のいいひまわりやね。あの大きな花がどーんと咲いて、風で揺れてる感じがするなぁ。他の人はどう?」

 

 生徒L 「ひまわりが落ち込んでる」

 

 「これは、どんな時のひまわり?」

 

 生徒L 「枯れかけて、だらんとなった時のひまわり」

 

 「よく知ってるね。そうそう、ひまわりって枯れる頃になると花の部分に種ができて重いから、首がぐにゃっと垂れたみたいになるねんな。これを『落ち込んでる』人の動作にたとえたところが素晴らしい!他にも『話し合いをしている』とか『気をつけをする』とか…みんな、色々おもしろいの書いてるね。

 

 作文を書くときに『プールに行って楽しかったです』と書くより、どんなに楽しかったのか、暑さや水の冷たさはどんな感じだったかを覚えておいて、ここにある直喩・隠喩・擬人法を使って書いてみると、自分だけの作文になるから、ちょっと意識して使ってみよう。それから、物の音を真似して作る『擬音語』、様子を真似してつくる『擬態語』も入れてごらん。めっちゃええ文章になるから」
 
 ※比喩の後に「擬音語」「擬態語」を教えて表現技法は終わりです。
  ここは前に書いたので、こちらを参照してください。

 

 ◆擬音語/擬態語をジャイアンに学ぶ。
 http://toto.cocolog-nifty.com/kokugo/2006/11/post_edac.html  

 

 「そういうわけで、宿題は今までに習った表現技法をぜーんぶ使って日記を書いてくること。ほい、どんな表現技法を習ったんやった?ノート見るのはナシやで」(どんどん当てて答えさせる)

 

 「日記を書いてくることと、次回は表現技法の小テストもあるので覚えておくように。これからは『とろけるような何とかゼリー』なんてコマーシャルを見たら『あ、これ“直喩”やな』ってわかるはず。表現技法を意識しておいてちょうだい」
  

 

 
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 本当はこの後に詩の分類を教えるのですが、つまらないので省略。参考にそれぞれの比喩を使った歌詞や詩のフレーズを並べたプリントを配ることもあります。

 

 比喩とは似た要素をつかまえることなので、その練習に「○○とかけて△△と解く、その心は~」の穴埋めをやることがあります。

 

 生徒が作った名作としては、 

 

 「試験問題とかけて、ドラえもんのポケットと解く、その心は?」というものでした。

 

 私もこれは答えられず、ギブアップ。
 「何が出るかわからない」という答えでした。降参。

 

 子どもの比喩の奔放さ、発想の豊かさには本当に感心します。
 ぜひ楽しんでください!

 

 

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◆くろねこ@国語塾:役立つ厳選バックナンバーはこちら
http://www.kuroneko-kokugo.com/study.htm

 

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