詩の授業・実況中継(4)~比喩
「プレジデント・ファミリー」10月号の特集「『ラブラブ会話術』で国語の成績アップ」(p66~71)を担当しました。書店でご参照下さい。
「ラブラブ会話術」については、このバックナンバーの記事が参考になると思います。
◆ラブラブ国語学習法
http://toto.cocolog-nifty.com/kokugo/2004/05/post_2.html
私は「プレジデント・ファミリー」を筆頭に、中学入試をむやみに煽る雑誌に否定的な見解を持っていました。実際、そのような記事を書いています。しかし、編集部の方とご縁があって話をする中で「地方で読まれている」「公立の教師やノウハウを取り上げている」という点で関心を持ち、お手伝いをさせていただきました。その経緯はこちらの記事で説明しています。
http://edurepo.com/?p=62
特集のタイトル脇に「関西の人気塾講師」とありますが、人気かどうかはともかくこの夏はこそっと小4の夏講を8日間やっていました。やっぱり、現場でないとわからないことは多いものです。そのあたりは、また折を見て書いてみたいと思います。
それでは、詩の表現技法シリーズ(4)を続けます。
>>前回の「詩の授業実況中継(3)」からどうぞ。
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「詩にはリズムを作ったり、印象を強くしたりするための『反復法』や『体言止め』や『倒置法』があるのがわかったかな?じゃあ、詩のもう1つおもろいところをやろう」
==《板書※本当は縦書き》=============
イメージを伝える表現技法
「比喩(ひゆ)」=「たとえ」
似たところを持つものをつないで、イメージさせる方法
例:やかんのようなハゲ頭
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「はいはい、君らホンマにハゲネタ好きやな。笑ってんとちゃんと写してや。写した人から、ノートの隅に、ハゲ頭の人とやかんの絵を描いてごらん」(描かせます)
「そうそう…その2つの絵、どこが似てる?」
生徒「形が丸い!」「つるつる!」「光ってるところ!」
※私も黒板にハゲ頭とやかんを描き、その横に生徒から出たコメントをメモします。
「『やかん』は生き物じゃないし、『ハゲ頭』でお湯は沸かせへんやんか。でも、『やかんみたいなハゲ頭』って聴いたら、みんなつるつるのハゲ頭が頭に浮かぶやろ。これは『やかん』の持ってる『丸い形』『つるつるした手触り』『よく光る』という点が、『ハゲ頭』の持ってる『丸い形』『つるつるした手触り』『よく光る』という点と一緒だからやねんな。逆に『やかんみたいな口をして文句を言う』って聴いたら、どんな『口』をしてる人が浮かぶ?…こんな感じちゃうか?」
(口をとがらせている人の絵を描きます)
「これはやかんの口の部分のとがった点と、文句を言う人の口がぎゅーっと前に出る点が似てるから通じるねんな。こういう風に『似たものを並べてイメージさせる』方法を『比喩』とか『たとえ』と言います。作家や詩人はこれをめっちゃ工夫してるねんで。えーっと、比喩の『喩』は書けなくてもいい。テストで答える時は『比ゆ』で丸をもらえます」
※高校入試では書けるように!
「でも、テストで『比喩』と答える問題はほとんどありません。『比喩』には3種類の方法があるので、そっちを覚えてちょうだい」
==《板書※本当は縦書き》=============
(1)直喩(ちょくゆ)
「ような」「みたいな」「ごとく」で直接たとえる方法
例: 燃えるような暑さ/雪みたいなカキ氷/嵐のごとく怒る
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「はい、これは『直喩』の『直』という漢字に線を引いておきましょう。『直接』の『直』やね。似た2つのものを『ような』『みたいな』でくっつけてあるから、あ、比喩やなってすぐわかる。
『暑い!』っていうのを『燃える』という言葉でイメージさせる。でも、ホンマに体が街が燃えてたら困るよな。火が燃えてるのと似てるぐらい暑いねん、というたとえを『ような』で作ってるねんな。『カキ氷』でも、雪をどっかから運んできてシロップを掛けて食べるわけじゃない。でも、あの白い細かい氷は雪に似てるよな。
それから、ちょっと古臭い言い方で『ごとく』というのも覚えておこう。これも、オカンが怒るたびに家の中で嵐が起きたら大変や。でもそのぐらい勢いがあって恐い!というイメージが伝わるよね。じゃあ、みんなで直喩を作ってみよう」
==《板書※本当は縦書き》=============
◆直ゆを作ろう!
1.〔 〕のような星空。
2.〔 〕みたいに泣く。
3.〔 〕のごとく走る。
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「このカッコの中に、それぞれ『星空』『泣く様子』『走る様子』と似たものを入れてみよう。ちゃんと人に伝わる比ゆになってるかな~。(時間をおいて書かせます)
じゃあ、1番から行こう。将来、君らも彼女とか彼氏ができてドライブでも行くかもしれん。さぁ、星空がめっちゃキレイなところに着いた!その時に『何とかのような星空だね』って、カッコよく決めたいところやな。ほい、答えてや」
生徒A 「割れたガラスのような星空」
「確かにキラキラしてるところは似てるな。ちょっと切ない感じもしてええね」
生徒B 「チョークの粉みたいな星空」 ※ホンマにいました
「うーん、チョークの粉…細かい点々って感じはするな。でもデートで『今夜の星空は、チョークの粉みたいだね』って言われたら、彼女は帰っちゃうかも(笑)。もう一押し、光る感じを入れたいなぁ」
生徒C 「宝石箱ような星空」
「おぉ、いいねぇ!キラキラしてるし、女の子が『今日の星空って、宝石箱みたい!』って言うとまたカワイイねぇ。他にも色々あるやろけど、星空が持ってる『たくさんある』とか『キラキラ光る』という点に注目してたとえを考えるといいねんな。ついでに、将来、彼女と星空の下でデートする男子のために使える直喩を教えておいてやろう。2人で星空見てるやろ、その時にこうやって言うねん。…『君の瞳のような星空だね』」
生徒「気持ち悪いー」「そんなん言われたくないー」
※大体、評判悪いです。王道なのに。
「あらそう?センセーはこんなん言われたら、もうどこにでもついて行っちゃうねんけどなぁ。…ほんなら2番に行こう。『~みたいに泣く』は何を入れた?」
生徒D 「怪獣」
「『怪獣みたいに泣く!』そりゃ大変な大声やね。これは弟か妹かだれかの泣き方をイメージしたんかな?…そうか、3歳の妹がいるんやね。ものすごい勢いで泣いてるンやろなぁ。見たこと無い人にも伝わるのは、上手な比喩の証拠。うまいなぁ」
生徒E 「雨みたいに泣く」
「こっちは静かな泣き方やね。しくしくずーっと泣いてるような感じかな?いいねぇ。はい、もう1人答えてもらおう」
生徒F 「赤ちゃんみたいに泣く」
「赤ちゃんってむっちゃ泣くから『先生が赤ちゃんみたいに泣く』やと、かっこ悪いほど泣いてる感じがするよね。赤ちゃん以外の人や大人に使うとええ直喩やね。よし、3番やろか」
生徒G 「風のごとく走る」
「ええねぇ、めっちゃ素早い感じが出てるなぁ。『ごとく』って古臭い言い方で慣れへんかもしれんけど『風のように走る』『風みたいに走る』って言い換えても同じ意味になるやろ。だから『走る』様子を似たものを入れれば、『風のごとく走る』ような渋~い比喩が作れます。じゃあ、他に書けた人」
生徒H 「チーターのごとく走る」
「これもいいね、チーターって走るのがむっちゃ速い動物やもんな。これが『亀のごとく走る』ではまったくスピードが出ないから、足の速い動物を選ぶとカッコよくなるよね。この『ような』『みたいな』『ごとく』が使ってある、ぱっと見て『あ、比喩やな』ってすぐにわかるのが『直喩』。しっかり覚えよう。今度は、ちょっとわかりにくい比喩を教えます」
==《板書※本当は縦書き》=============
(2)隠喩(いんゆ)/暗喩(あんゆ)
「ような」「みたいな」「ごとく」を使わないでたとえる方法
例: 燃える暑さ/カキ氷は雪だ。/怒りの嵐
君はバラの花だ。
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「これはぱっと見た時に、特に『カキ氷は雪だ』って、ナンだ?って思うよね。で、よく考えると『あぁ、雪みたいだってたとえてんねんな』ってわかる。こういうわかりにくい比喩を『隠喩』とか『暗喩』と言います。『隠喩』の『隠』の字に送り仮名つけて読んでちょうだい」
生徒 「隠れる」
「その通り、ありがとう。『比喩』が『隠れている』から『隠喩』っていうねん。ノートにもメモしておいて。もう1つ呼び方があって『暗喩』という場合もある。これは『暗い』って字やから、ぱっと見てわかりにくいっていう意味。さっきと一緒で『喩』の字はひらがなでも丸です。
もう1つ例を書いておいてんけど『君はバラの花だ!』っていきなり言われたらびっくりするやんか。ちゃんと人間の形してるのに、ホンマにバラの花が服来てウロウロしてたら恐いやろ。これは『君はバラの花のように美しい』というのを、隠喩で言ってるねんな。じゃあ、作ってみよう」
==《板書※本当は縦書き》=============
◆隠ゆ/暗ゆを作ろう!
海は〔 〕だ。
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「海に似たものをイメージして、『ような』『みたいな』『ごとく』を省いて入れてみてちょうだい。……はい、書けた人」
生徒I 「海は青空だ」
「海の『青い』ところと、空をくっつけてんな。波が白いところは、雲みたいに見えるよねぇ。ええなぁ。はい、他に誰か」
生徒J 「海はお母さんだ」
「これは『お母さん』のどういうところを海に似てると思ったの?」
生徒J 「魚とか貝とか、色んなものを育てているところ」
※過去に1人、この通り答えた生徒がいました。
「素晴らしい!お母さんが君を育ててくれるところと、同じやなぁって思ってんな。うまいなぁ……『海はお母さんのようだ』って直喩で言っても意味は一緒やけど、『海はお母さんだ』って隠喩で言う方がカッコいいね。作文や詩を書くときに使ってみると『おっ、コイツやるなぁ』と思われるかも。……よし、3つ目の比喩をやろう」
==《板書※本当は縦書き》=============
(3)擬人法(ぎじんほう)
人ではないものに、人の動きをさせる方法
例:太陽が怒っている/風が葉っぱと遊んでいる。
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「太陽に『ちょっとウチ機嫌悪いねん、怒ってるでー』という感情はないよな。でも、めっちゃ暑い日に太陽がギラギラしているのを『怒ってる』と人の様子を真似して書くと、表現に工夫があるよね。擬人法の『擬』の字は、『まねする』という意味の字。『人じゃないのに、人のまねをさせる』ことで、生き生きした感じになります。入試では『ぎ人法』と『擬』はひらがなで書いてもオッケーやけど、できれば書けるようにしておいて」
※高校入試まで『擬人法』と『活喩法』(『風が吠える』など、無生物に生き物の動作をさせること。人の動きとは限らない)は分けて教えません。
「それでは擬人法にチャレンジしよう」
==《板書※本当は縦書き》=============
◆擬人法を作ろう!
ひまわりが〔 〕。
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「ひまわりの花にどんな人間の動きをさせようかな…はい、答えてもらおう」
生徒K 「ひまわりが笑っている」
「おぉ、元気のいいひまわりやね。あの大きな花がどーんと咲いて、風で揺れてる感じがするなぁ。他の人はどう?」
生徒L 「ひまわりが落ち込んでる」
「これは、どんな時のひまわり?」
生徒L 「枯れかけて、だらんとなった時のひまわり」
「よく知ってるね。そうそう、ひまわりって枯れる頃になると花の部分に種ができて重いから、首がぐにゃっと垂れたみたいになるねんな。これを『落ち込んでる』人の動作にたとえたところが素晴らしい!他にも『話し合いをしている』とか『気をつけをする』とか…みんな、色々おもしろいの書いてるね。
作文を書くときに『プールに行って楽しかったです』と書くより、どんなに楽しかったのか、暑さや水の冷たさはどんな感じだったかを覚えておいて、ここにある直喩・隠喩・擬人法を使って書いてみると、自分だけの作文になるから、ちょっと意識して使ってみよう。それから、物の音を真似して作る『擬音語』、様子を真似してつくる『擬態語』も入れてごらん。めっちゃええ文章になるから」
※比喩の後に「擬音語」「擬態語」を教えて表現技法は終わりです。
ここは前に書いたので、こちらを参照してください。
◆擬音語/擬態語をジャイアンに学ぶ。
http://toto.cocolog-nifty.com/kokugo/2006/11/post_edac.html
「そういうわけで、宿題は今までに習った表現技法をぜーんぶ使って日記を書いてくること。ほい、どんな表現技法を習ったんやった?ノート見るのはナシやで」(どんどん当てて答えさせる)
「日記を書いてくることと、次回は表現技法の小テストもあるので覚えておくように。これからは『とろけるような何とかゼリー』なんてコマーシャルを見たら『あ、これ“直喩”やな』ってわかるはず。表現技法を意識しておいてちょうだい」
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本当はこの後に詩の分類を教えるのですが、つまらないので省略。参考にそれぞれの比喩を使った歌詞や詩のフレーズを並べたプリントを配ることもあります。
比喩とは似た要素をつかまえることなので、その練習に「○○とかけて△△と解く、その心は~」の穴埋めをやることがあります。
生徒が作った名作としては、
「試験問題とかけて、ドラえもんのポケットと解く、その心は?」というものでした。
私もこれは答えられず、ギブアップ。
「何が出るかわからない」という答えでした。降参。
子どもの比喩の奔放さ、発想の豊かさには本当に感心します。
ぜひ楽しんでください!
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