2009年4月19日 (日)

涙のカーテンコール。

 「タチアナ!」

 キスクラでコーチに呼びかける、選手。

 日本のスケート連盟はタチアナの戦略を批判したが、浅田真央自身が批判を跳ね返してコーチとの絆を見せつけた場面。ダウングレードは悔やまれるが、とにかく泣けた。また真央嬢に泣かされてシーズンが終わってしまった。

 最終滑走の緊張感。
 最初のトリプルアクセルの、異様な高さ。
 次に3Aを跳ぶなら、コンビネーションは絶対。
 中途半端に跳んでこけたり、セカンドジャンプがつけられなかったら大減点。
 3-2や別のジャンプで回避する方法はある。いくらでも。
 
 跳んだ!

 コレが「出来損ないの2A-2」の点数しかもらえないという今のシステムでは、甘んじて受けるしかない。でも、限界に挑んでこそ、スポーツ。キム・ヨナの世界最高点は、太刀打ち不可能ではないということを証明するための4分半。プログラムに調整をかけて、ベストを目指す。

 最後のステップ、最高の出来だったとは思えない。
 でも、そこには死力を尽くすアスリートの姿があった。
 
 真央嬢の笑顔は最高だ!
 達成感、解放感。

 キスクラで点数を見た瞬間、ダウングレードを察して表情が勝負師の顔になる。そして、歓声に応えてまた笑顔になる。課題を確認して、また彼女は別次元を目指す。

 今年、確かに「試合に勝つ」という点ではプログラムに無理があったと思う。でも、最後の最後でコーチが示したハードルを超えることで、この1年の成長を見せ付けた。世界選手権の台落ちで批判された「背伸び」は正解だったのだ。

 天才の成長を見続けられることに、ただ幸福感を感じる。
 
 真央劇場、涙のままに終了。
 あって良かったカーテンコール、行けば良かったとつくづく後悔。

 シーズンの締めくくりとして予定外、でも最高の終わり方。
 ひょっとしたら、イチローばりに真央嬢も「持っている」のかもしれない。

 来期はダウングレードが少し緩和されるそうで、「攻める選手」のモチベーションが上がることを祈っている。

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2009年4月17日 (金)

進化を止めない。


 世界選手権が終わってから、しばらくスケートのことを考えるのはイヤになった。ポイントを積み重ねる小技重視になったせいでプログラムの流れが悪い。見慣れてきたとは言え、スッキリしない演技が増えた。

 その中で、キム・ヨナは確かにポイントを稼いだけれど、真央が大技にチャレンジしても勝てない、チャレンジすることがかえって地雷を踏む結果にしかならない今の採点システムは何なんだろう。

 質のいい簡単なジャンプ>ちょっと回転不足の難しいジャンプ

 こうなると、誰もアスリートとしてスケートを進化させようと思わなくなる気がする。

 案の定、表彰台を落ちた真央に対し協会が「これからはプログラムにも口を出させてもらう」と“苦言”を呈したそうな。モロゾフが「お前らが口を出すから選手がつぶれる」って言ってるやんか!しょうもないショーに、本気で五輪に取り組むトップアスリートを引きずりまわして小銭稼いでるのは誰やねん!

 ……暗い気持ちになるので今シーズンは後味悪いなぁと思っていた。


 そこに、団体戦。
 修造の水色のスーツは一体どこで売っているのか

 いや、そんなことじゃない。

 最初は単なるショーまがいの大会だと思っていたが、真央にとっては「リベンジ」の場だったらしい。そうか、世界選手権の憂さを晴らして、前向きに終わることができる。悪くないかも。ジュベールも気合が入っていた。


 私が大好きな藤色の衣装に「月の光」。

 ショートで前人未踏、
 「トリプルアクセルからのコンビネーション」を跳んだぁぁぁ!
 真央嬢!アンタ天才!最高!!
 
 過去の選手が、たった1回のトリプルアクセルをフリーで跳ぶのに七転八倒してきた。
 でも、この人は「私の得意なジャンプで攻めます」とさらっと跳ぶ。

 久々に、ふっと演技中に微笑んだ。
 軽々と、つるつると滑っていくステップ。

 顔芸がなくても、真央嬢には音楽を表現する力がある。

 メダルとか国の威信とかどーでもいいから、
 自分が目指す高みだけを追い求めてほしい。

 モロゾフが日本選手にまじって嬉しそうにスタオベしてた(状況的に当然だろうけど)のが、印象的だった。みんなが彼女の才能は認めている。成長も苦悩も知っている。

 2008-09年シーズンの真央劇場に、こんなカーテンコールが残されているとは思わなかった。修造はウザイがばっちり放映してくれるテレ朝に感謝感謝。

 

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2009年3月30日 (月)

終わったー(泣)

 キム・ヨナ嬢が10代にして背負ってきたものと、今回の安定感あふれる演技(点数大盤振る舞い感はあるけど)、3度目の正直を思うと彼女の涙にもらい泣きしたくなる。

 しかし、私が勝手にもらい泣きしたのは、もう一人の優勝候補にだった。

 過去に女子で誰もやらなかったトリプルアクセルからのコンビネーションを跳んでも。表彰台に乗れなかった、スケートに関してはとてつもなくプライドの高い女の子。きっと、鼻と目を真っ赤にして泣いているに違いない。そう思うと、泣ける。


 先日見た、浅田真央へのインタビュー。


 「普通の高校生活に憧れますか?」

 ちょっと上手に立ち回る子なら、反感を買わないように「時々は」ぐらいは答えるだろう。彼女は言い放った。


 「全然。スケートのことしか、考えられない」


 6分間練習で2回トリプルアクセルが跳べても、
 全体の緻密な構成や小技を積み重ね、
 曲を演じる表現力を身につけなければ、
 オリンピックでも金メダルは無い。

 そんなこと、彼女は痛いほど今わかってる。
 
 キム・ヨナの表現力、3-3と2アクセルー3をきっちり決めつつ、あのスピードと流れは凄い。表情も指先も神経が通っている。歴史に残る選手の一人。まだ18歳。もう一人、目を惹いた16歳のフラット。彼女たちが満身創痍でライバル物語を繰り広げている間を、アメリカの小娘が五輪金メダルをさらっていく。過去の悪夢がチラついた。


 成長物語の定石は、大舞台の前の挫折。

 浅田真央はもう1シーズン「仮面舞踏会」を滑るかもしれない。

 滑り込んで滑り込んで、流れるようにあの殺人プログラムが滑れて、彼女に初めて勝機が訪れる。「相手のミスを待って勝つ」なんて、念頭に無いだろう。今回のヨナの点数の出方は凄かった。あれに勝つには、前代未聞プログラムの、パーフェクトしかない。

 今回、あまりにも完璧なキム・ヨナのSPを観た後だか前だか、会場にいるミシェル・クワンを久々に観て「ミス・パーフェクト」代替わりかと期待した。スケートのタイプも似ている。ミシェルほどエモーショナルな滑りではないけれど、彼女の持たない爽快なジャンプをキム・ヨナは持っている。

 どうせ勝つなら「ミス・パーフェクト」で勝ってくれ。
 そう思いながら、ヨナ嬢の演技を見ていた。

 ……残念!

 今度にお預けかなと思う反面、「パーフェクト」がどれほど大変なことかを思い知る。ま、当時は3-3必須とか3-2-2みんな跳ぶような時代じゃなかったから、今やる方がしんどいな。

 
 感想でも何でもなくて、単なる独断と偏見のつぶやきなので、読み流してください。
 2人ともプレッシャーから解放されて、笑顔でエキシビを滑って欲しいものです。

 おまけのように言うけど、安藤美姫に初めて脳内スタオベしました。
 いやーカッコよかった!

 ロシェット兄貴の緻密なプログラムも好きです。
 おめでとう、銀メダル。

 書きたいことは山ほどあるけど、ひとまず。
 あーーーシーズンが終わってしまった。
 
 ……マスコミの手のひら返しに、真央嬢が傷つきませんように。


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