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2006年2月11日 (土)

ミシェル・クワン(アメリカ)

 長野五輪の時まで、スケートはテレビでやっていればチェックするという程度のものだった。しかし、長野でクワンに会ってから、フィギュア・スケートの持つ「快感」を知ってしまった。

 スケートで「滑る」という行為は、バレエやダンスなどの地上での身体表現より、音楽との一体感を得やすい。アイスダンスを観ていると、つくづくそう思う。ダンスフロアが氷上なら、こんな陶酔感が味わえるんだ、と。

 クワンのスケートが、最初に「音楽との一体感」を教えてくれた。音楽がスケートのエッジから鳴りだしているような滑らかさ。高くは無いが音楽を邪魔しない「ふわっ」としたジャンプ、次の動作に移行する体の動きのムダの無さ。そして彼女の表情や指先も、全てが音楽と共にある。(それを最大限に使った「レッド・バイオリン」は名プログラムだと思う)

 大味な顔のド派手な衣装の少女が金メダルを獲って絶叫する裏、私はシンプルな衣装の可憐な少女に心惹かれた。

 しかし、あの時「穢れなき敗者」に見えたクワンは、そんなガラスのような少女ではなかった。

 過去の映像に遡って、95年の世界選手権。まゆげボーボーのポニーテールの少女が、最終滑走でジャンプを飛びまくり、最終グループのお姉さん達を青くさせていた。それがミッシェル・クワンだ。「スケートが好き!」というあどけない喜びが全身にみなぎっている。この頃のクワンこそが「少女時代」の最後ではないだろうか。

 翌年、96年の世界選手権。「女って怖ぇ~」と思わせる、大イメチェン。キッツい化粧にギラギラのアジアンテイストな衣装。妖艶さまで醸し出す演技力。ライバルに勝つために、土壇場で入れたトリプル・ジャンプを決めて、彼女は頂点に立った。浅田真央が来年、キャバ嬢みたいなメイクと衣装で「うっふんセクシー路線」で出てくるぐらいの衝撃だ。

 さらに97年、同じテイストで臨んだ世界選手権、困ったことにライバル出現。これが長野の金メダリスト、タラ・リピンスキー。金髪・大きな目に大きな口・アメリカ人受けする明るい演技。タラに勝つためかどうなのか、悲しいかな中国系アメリカ人のため見た目のファースト・インプレッションでは勝てそうにない(邪推入り)。

 そこでメイクや衣装、路線を変更して「清純イメージ」で出てきたのが長野のクワンだったらしい(「誰かを演じるのではなく、素のミシェル・クワンを観てほしい」というナニ様なコンセプトでもあった)。まんまとダマされたものよ。

 しかし、クワンの歴史を確かめて見て、私は彼女を嫌いになるどころかますます好きになった。中でもイメチェンして「勝ち」に来た96年の・SP、・FPともにビデオテープが擦りきれるほど見た。タフで鋭敏な競技者としての精神力と、氷上での芸術性。エキシビで好きな音楽に乗って滑る時の、幸福感。

 「ミシェルの時代は終わった」と言われながら、イメチェンや思考錯誤を繰り返しつつ、第一線をしぶとく降りない。そのタフさにいつも心でスタンディング・オベーションする。ただ、ソルトレイク五輪は彼女のもっとも迷走していた時期で、今も見返すのが怖い。EXで鼻水まで垂らして泣いている顔。金の衣装によりによってField Of Gold なんて選曲、なんでココまで自分を追いこんじゃうのよバカ、と思いつつ一緒に号泣する。

 3度目のオリンピック。

 出てくれてありがとう、とだけ思っている。

 まだ原稿用紙100枚ぐらい書けるけど、ひとまず終わり。

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コメント

そうか、Sallyさんはアメリカ在住でしたよね。
地元でもそんな言われよう…というより、今回の件で批判的な論調になっていなければいいのですが。

スポンサーがらみで大変な面もあると思うのですが、ワガママ姫のように思われるとホント悲しいです。

彼女のスケートは、安定感があって魅力なんです。
いつかアメリカのプロ公演を観にいきたいと思ってます。日本では1回生で見ましたよー。

…しかし、ヒューズ家は強運ですね。

投稿: とと(siroko) | 2006年2月13日 (月) 16時00分

偏愛ヴォーカリスト~からたどってこちらまでお邪魔します。地元?米国でもクワン選手は銀、銅はあっても、ジャンプの技術面や、アスリートとしての力強さがロシアのスルツカヤ選手に及ばないだろう、なんていう批評が新聞にのってます。
私は個人的に誰のファンというわけではありませんでしたが、ジャンプ、ジャンプと言われるフィギュアスケートの中で、ギラギラしていないのに、カリスマのあるクワン選手は確かに応援したくなりますね。

投稿: Sally | 2006年2月12日 (日) 16時12分

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» ミシェル・クワン、棄権の可能性を示唆 [blog EVERGREEN]
記事 nikkansports.com「クワン故障で直前出場辞退も」 特例措置で出場も故障が癒えず ペアの競技中ですがみんな見てますか?#63893; 驚いたニュースですが、開会式翌日の公式練習後の会見でミッシェル・クワン選手が棄権の可能性を示唆しました。注目を集めるための..... [続きを読む]

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